売り方変えたマットレス快進撃 コアラ並みの快眠めざす

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シドニー=小暮哲夫
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 コアラのように快適な眠りを。オーストラリアのシンボルを名前に取ったマットレスで人気を集める新興企業豪州にある。先駆的な戦略でベッド産業に変化をもたらし、コアラの保護にも熱心だ。(シドニー=小暮哲夫

「お店で寝てみて決める」にNO

 明るいオフィスで、ヘッドホンをつけた若いスタッフたちがパソコンに向かっている。

 シドニー中西部の産業地区にある建物の2階。新興企業「コアラスリープ」の顧客対応チームだ。25人が毎週4千件ほどの注文や問い合わせに、チャットや電話、メールで答えている。

 1階には、シンプルなデザインのベッドやソファなどの自社製品も展示されている。新型コロナウイルスの感染が増えた昨年3月から閉鎖されたままだが、支障はない。顧客はここに来なくても、十分に商品を吟味できるからだ。

 ミッチ・テイラーさん(33)とダニエル・ミルハムさん(31)が創業したのは、2015年11月。起業に選んだのが、家具業界だった。「業界を引っかき回そう」とマットレスに狙いを定め、ユーカリの木で1日20時間ほど眠るコアラを社名に取った。

 お店で数十秒間、寝転がってみて決める。こんなマットレス選びの「常識」を変えるところから始めた。

 本当の寝心地は、しばらく使ってみないとわからない。だから、返品・返金できる期間をたっぷり「120日間」に設定した。

 客が長い間、使ったうえで決められる仕組みなので、店舗はいらず、その分、コストも節約できる。マットレスの素材は、主流のコイルやスプリングではなく、ウレタンに決めた。

 ただ、長い「お試し期間」で返品が増えては商売にならない。「横向きに寝たらどうか」「熱がこもらないか」など念入りにテストし、安定感のある中程度の硬さに仕上げた。マットレスの上にワイングラスを置き、跳びはねてもこぼれない動画を公開すると、SNS上で話題を呼んだ。

 価格はシングルベッド用で780豪ドル(約6万6千円)。配送は、マットレスを圧縮してコンパクトな箱詰めにする「ベッド・イン・ボックス」という方式を採用した。シドニーやメルボルンなどの大都市なら、平日の午後2時までに注文を受ければ、即日で無料配送する対応も受けた。

 結果として、返品率は「とて…

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