「春」をはじめとするベートーベンの三つのバイオリン・ソナタを、世界的バイオリニストの竹澤恭子が奏でる。大作ぞろいで「聴いていただく皆さんも、体力の消耗がすごいかもしれません」と朗らかに笑う。
日本に拠点を移したわけは…
1989年のデビュー以来、30年以上にわたって米仏を拠点に活躍してきた。「3歳から歩み始めた音楽人生。色んな国をとどまることなく駆けめぐり、無我夢中で弾いてきました」
そして2年前、東京に居を移した。昨春には東京音楽大の教授に就任。「年齢とともに、今後どんなことができるかなと考えるようになったんです。教えることが元々すごく好き。生まれ育った日本の生徒さんたちに、自分が色んな国で体験したことをお伝えしたい」と語る。
ベートーベンのバイオリン・ソナタを語るとき、ピアノの存在は想像以上に大きい。それは決して伴奏などではなく、ともに深く音楽を奏でる同志となる。
ピアニストの江口玲(あきら)とは、高校時代に米アスペン音楽祭で出会い、それから30年以上の付き合いだ。「音楽も性格も理解している仲間」と信頼をおく。
2002年から翌年にかけて…