傷ついた命、救いたい 浅田美代子さんと愛犬の12年

太田匡彦
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 不幸な動物たちを助ける活動に、積極的に取り組んでいる俳優の浅田美代子さん。1匹の元保護犬の存在が、活動を始めるきっかけになりました。愛犬への思いや動物愛護を巡る課題について、聞きました。

 ――たくさんの保護犬を引き取っていますが、特に思い入れのある子がいると聞きました。

 これまで5匹の犬をみとり、いま4匹の犬を飼っています。そのなかでも、アヴィさんは特に思い入れのある子です。初めて飼った保護犬であり、この子を引き取ったことが、動物愛護の活動を始めるきっかけとなりました。

拡大する写真・図版俳優の浅田美代子さんと愛犬のアヴィさん=東京都渋谷区、関田航撮影

 アヴィさんは12年前、千葉県動物愛護センターで殺処分寸前だったのを、地元の動物愛護団体が救い出してくれました。推定年齢は5、6歳。歯が折れているなど、虐待された形跡がありました。最初のうちは人をとても怖がり、そばに人の姿があると、ご飯も食べられませんでした。

 ――保護犬、保護猫のなかには、人のせいで心に傷を負っている子が少なからずいますよね。

 うちの子になって半年も経たないころ、帰宅すると、初めて、玄関でしっぽを振りながら出迎えてくれました。心を開いてくれた瞬間でした。涙が出ました。一度は嫌いになった人を、犬は許してくれるんだ――。そう、深く感動しました。

 こんな子が殺されていたかと思うと、いてもたってもいられなくなりました。私にも何かできることはないだろうかと、模索を始めました。それから、悪質な繁殖業者のもとにいる犬をレスキューしにいったり、全国各地で講演をしたり、動物愛護法の改正を国会議員に陳情しにいったりといった活動をするようになりました。

 ――改正動物愛護法は、2019年6月に成立しました。

 改正動物愛護法で、犬猫の繁殖業者などへの規制はずいぶん強化されました。それでも、日本の動物たちを巡る状況には、まだ問題が山積しています。

 法制度の物足りなさも課題ですが、ショップで安易にペットを購入してしまう消費者にも問題があると思っています。そういう消費行動が結果的に、子犬・子猫の仕入れ先である、一部の悪質な繁殖業者を助けてしまっているということを、知ってほしい。どうすれば消費者の行動を変えていけるのか、知恵をしぼらないといけません。それが、いまの私の課題です。

 ――動物愛護活動に取り組むようになって10年以上が経ち、アヴィさんもずいぶん年を取ったと思います。

 業者への規制を強める改正動物愛護法が成立して少し経った19年10月、アヴィさんが急に嘔吐(おうと)をしたので、すぐに動物病院に連れて行くと、急性腎不全と診断されました。それから、自宅で皮下補液をする生活が始まりました。今では毎日です。また、家のなかでオシッコをしなくなったので、尿毒症を避けるため、毎日4、5回外に連れて行ってあげることに。コロナ禍のため、長く家にいられるタイミングだったのは、不幸中の幸いでした。

 1月からインスタグラムフェイスブックで、「アヴィさん通信」を始めました。同じ病気で悩んでいる人たちの情報交換の場になればというのがもともとの目的でした。でも最近では、アヴィさんの日々の様子を通じて、最後まで飼いきることの大切さを伝えていければと考えるようになりました。私を動物愛護の世界に連れてきてくれたのが、アヴィさん。そのアヴィさんが、もっとたくさんの人を巻き込んでくれるのではないかと。

 いつかくる最期の時を思うと、つらいです。でも推定17、18歳まで生きてくれていることに、感謝の気持ちでいっぱいです。

※アヴィは5月7日に永眠しました。(太田匡彦)

 あさだ・みよこ 1956年、東京都生まれ。73年にテレビドラマ「時間ですよ」でデビュー。俳優や歌手のほか、バラエティー番組でも活躍。動物愛護法の改正を求める署名活動も行った。小学校などで「いのちの教室」と題する講演も続けている。