大人気Pascoのコオロギパン、込めた創業者の使命

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根本晃
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 「Pasco」のブランドで知られる敷島製パン名古屋市)が、昆虫食の開発に乗り出した。粉末状のコオロギパウダーを用いた「コオロギパン」を昨年12月から月に1度、オンライン限定で売り出した。わずか1時間で完売するほどの人気を見せている。一風変わった新商品の背景には、大正時代の創業時に刻まれた食糧危機への思いがあった。

拡大する写真・図版敷島製パンが開発した「コオロギのバゲット」(左)と「コオロギのフィナンシェ」=2021年4月28日、名古屋市東区、根本晃撮影

 「手前みそですが、これが本当においしいんですよ」

 今年4月、同社の広報担当者がコオロギパンについて熱く語るのを聞き、眉をひそめた。コオロギとパン。いくらすりつぶして粉末にしたからと言って、お世辞にもおいしいとは思えない。気になって、試食を申し込んだ。

100匹分のコオロギパウダーを使用

 敷島製パンが開発したコオロギパンは、バゲットと焼き菓子のフィナンシェの二つ。バゲットには1本あたり約100匹分のコオロギパウダーが使われている。フィナンシェは味の違いを楽しめるように、10匹分と30匹分の2種類がある(5月に50匹分の種類も加えられた)。原料となったコオロギは「ヨーロッパイエコオロギ」という品種で、癖の少ないさっぱりした味が特徴だという。

拡大する写真・図版敷島製パンが開発した「コオロギパン」の原料となるヨーロッパイエコオロギ=フューチャーノート提供

 バゲットもフィナンシェも、見た目は通常のものとほとんど変わらない。30匹分のフィナンシェは、10匹分よりわずかに色味が濃いようだ。「まずは初めの一口を食べてもらえるように、外見で抵抗感がないようにしました」と開発担当者の沖田真由さん(29)は説明する。恐る恐るバゲットから口に運ぶと、拍子抜けするほど違和感がない。柔らかく、甘みがあっておいしかった。

 「通常のバゲットと変わらないですね」。記者がそう言うと、広報担当者が不敵な笑みを見せた。

 「トーストにすると、味が変…

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