建設石綿被害、賠償認める理由は? 最高裁が17日判決

阿部峻介
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 国や建材メーカーの賠償責任を認めた理由を、最高裁はどう示すのか――。建設資材のアスベスト(石綿)の健康被害をめぐる訴訟で、最高裁が17日に初めて判決を出す。作業員ら原告側のほぼ勝訴という結論は確定しており、焦点は判断の理由だ。判決は補償策の行方にも影響を与える。

同種訴訟は全国33件

 石綿を吸い込むと何年も経ってからせきや息切れが生じ、中皮腫肺がんにいたるおそれがある。その危険性は1960年代には指摘されていたが、国は断熱材などに使うよう推進し、74年に輸入のピークを迎えた。建材の製造や使用が全面的に禁止された2006年以降、発症した元作業員や遺族ら計約1200人が全国で33件の訴訟を起こした。先行する神奈川、東京、京都、大阪の4訴訟について最高裁第一小法廷が判決を言い渡す。

 大きな争点は①建設会社の従業員と同じ現場で働きながら、労働安全衛生法で保護されない「一人親方」と呼ばれる個人事業主などについても国の責任を問えるか②どの建材が被害を生じさせたか特定できなくてもメーカーの責任を問えるか、の2点だ。

判決受け、補償制度も具体化?

 民事裁判では論点ごとに上告の受理・不受理を決めることが可能で、第一小法廷は①を認めた東京、京都、大阪訴訟について国の上告を受理せず、一人親方などを救済対象とする結論を確定させた。認めなかった神奈川訴訟では原告の上告を受理したため、結論を見直すとみられる。

 ②は京都、大阪訴訟で認める結論が確定した。両訴訟で原告側は、作業の実績と建材の販売時期・地域を突き合わせたうえで、高いシェアを持つメーカーの責任を問えると主張した。責任を否定したり一部しか認めなかったりした東京、神奈川訴訟では原告の上告を受理しており、第一小法廷は大筋認めるとみられる。

 ①②とも今回の判決のなかで、国やメーカーの責任を認めた詳しい理屈が示される。ほかにも、国の責任を問える期間などの論点も判断される見通しだ。

 被害者の補償制度をめぐっては、原告団と国の間で協議が続く。判決を受け、具体化するとみられる。(阿部峻介)