「伝統の一戦」はふさわしい? 巨人vs阪神が2千試合

稲崎航一
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 「伝統の一戦」という言葉は、果たしてふさわしいのか。

 「俺に言わせりゃ、こんなチームが『伝統の一戦』とか、巨人のライバルとかおかしいわ」

 中日、阪神、楽天で監督を務め、2018年に亡くなった星野仙一さん。阪神監督に就任した直後に聞いた話を思い出す。

 1973年、阪神は優勝目前まで迫っていた。残り2試合、引き分けても優勝という中日戦。登板したのが中日・星野だ。「巨人はもう8連覇もしているし、阪神が優勝してもいいんじゃないか」ぐらいの楽な気持ちで投げていた。

 ところが、阪神打線は凡打の山。一丸となって食らいついてくる気迫がない、と感じた。当時の阪神は、チーム内の内紛が表面化するなど雰囲気も悪かったという。

 試合途中に二塁手の高木守道さん(故人)から言われた。「セン、こんなチームにセ・リーグは優勝させるわけにはいかんぞ」。自分もそう思ったから、そこからは全力投球で抑えて勝った。阪神は結局、最終戦の巨人戦も大敗し、優勝を逃した。そこで出たのが冒頭の言葉だ。

 巨人―阪神戦が15日、通算2千試合を迎える。14日現在、通算成績は巨人の1093勝835敗71分け。優勝回数も巨人の38回に対し、阪神は5回に過ぎない。

 ただ、村山実江夏豊がONに立ち向かった時代、江川卓掛布雅之の対決、バックスクリーン3連発など数々の名勝負があった。星野監督時代も、井川慶が巨人の重量打線をねじ伏せて最多勝を獲得し、リーグ優勝の立役者となった。

 今年、阪神が好調なことで、両チームの対決がクローズアップされている。

 今の阪神は故障者が出ても打線がつながり、リードされてもあきらめない粘りがある。あとは個の力だろう。巨人の菅野智之坂本勇人、岡本和真らに匹敵するようなタイトルホルダーを育ててこそ、「伝統の一戦」という言葉が重みを増すように思う。(稲崎航一)