余ったワクチン、誰に打つべき? 公平性と効率性で苦悩

新型コロナウイルス

藤田大道、鹿野幹男、福田祥史
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 キャンセルで余ったワクチン、誰に打つべきか――。各地で始まった一般高齢者向けの新型コロナワクチン接種。余剰分を無駄にせず接種するため、自治体は公平性と効率性のはざまで悩みつつ、独自ルールづくりやキャンセル待ちリストの作成に追われている。

 供給されるファイザー製ワクチンは、解凍して希釈した後、6時間以内に使い切らないといけない。

 8日に集団接種を始めた茨城県取手市は、会場で余ったワクチンを、予約が取れていない65歳以上の民生委員に接種している。

 キャンセルが出ると、年齢が高い順に呼び出し、会場で接種する。コロナ禍で手控えられがちな高齢者宅への訪問などをしやすくする狙いがある。近くに民生委員がいなかった場合などは、医療従事者や高齢の施設入所者に対象を広げている。

 14日までに14件のキャンセルがあり、7人の民生委員が接種を受けた。8日に接種した染野憲一さん(79)は、60~70人の高齢者宅を定期的に訪問している。「予約が取れず困っていたが、これで安心」と話した。

 6月7日から大半の高齢者向け接種を始める水戸市は、医療従事者に加え、市内の幼稚園や保育所、公立小中学校の教員や保育士もキャンセル分の対象に含める。他県のクラスター(感染者集団)発生状況を踏まえ、教育や子育ての現場で働く人たちへの接種を優先するという。

 5月17日から接種を始める守谷市はキャンセル待ちの希望者名簿を作成する。65歳以上の高齢者約1万7千人の予約枠は確保できているとして、対象を16歳以上に広げたが、基礎疾患のある人や高齢者通所施設、障害者施設、幼稚園や保育所で働く人が優先。13日時点で100人近くが登録したという。

 自分の感染予防に直結するテーマだけに、市民の関心は高い。医療従事者分のワクチンの余剰分を巡っては、接種した首長を含む自治体幹部の判断が議論を呼んだ。北茨城市の医療機関では先月中旬、医療従事者向けで2回分の廃棄が生じた。市によると、キャンセル連絡がなく、近くに接種可能な医療従事者もいなかったという。

 多数の医療機関ごとに接種作業を進める個別接種では、自治体がキャンセルの情報を迅速に把握し、限られた時間内に対象者と連絡をとって病院につなげる必要がある。「確実に廃棄をゼロにできるのか。正直、自信がない」と、ある自治体の担当者は打ち明ける。協力する医療機関から「キャンセル待ちの対象者が来られなかったら?」と相談され、「待合室の若者でも構わない」と答えた。「高齢者優先だけれど、一人でも多くの人に打たないといけない。公平性と効率性の兼ね合いが難しい」(藤田大道、鹿野幹男、福田祥史)

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