中国の火星着陸「常識外れ。たいしたもん」 驚く専門家

小川詩織
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 中国の無人火星探査機「天問1号」の着陸機が15日午前、火星に着陸したと中国国営新華社通信が伝えた。中国の探査機が火星着陸に成功するのは初めてで、世界でもソ連と米国に続く3カ国目。

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 火星は着陸が難しいことで知られている。これまでに旧ソ連欧州宇宙機関なども挑んだが、ほとんどが失敗してきた。日本も、火星軌道への投入を目指した探査機のぞみ」が失敗に終わっている。

 火星は大気があるものの、地球の1%ほどと薄いため、パラシュートだけでは十分な減速ができない。ロケット噴射を併用した複雑な減速方法をとる必要がある。重力も大きい。地球の3分の1とはいえ、月の2倍にあたり、減速に大きなエネルギーがいる。

 大気圏に突入し、パラシュートを開き、地表近くでロケット噴射をする。これらのタイミングを一つでも間違えれば探査機は地表に激突してしまう。火星は月よりはるかに遠く、通信に片道10分以上かかるため、トラブルが起きても地球からの支援は間に合わない。2月に探査機を着陸させた米航空宇宙局(NASA)ですら、大気圏突入から着陸までを「恐怖の7分間」と表現した。

 そんな火星に対し、中国は今回、火星を回る軌道に探査機を投入し、火星に着陸させ、さらに今後、探査車で地表を走らせるという三つのミッションに一気に挑んだ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の的川泰宣名誉教授は「政府が総力をあげて取り組んだのだろう。技術は非常に高いレベルにあると言える。先行した米国やロシアの情報を手に入れてもいるだろうが、三つのミッションを同時に行うのは従来の計画の立て方から考えると常識外れ。たいしたもんだ」と舌を巻いた。小川詩織