第1回茶髪だめ? 高校生たちが記録映画 津田大介さんら母校

有料会員記事

宮崎亮
写真・図版
東京都立北園高校の前に立つ中村眞大さん(中央)、長根光輝さん(左)、安達晴野さん(右)=2021年4月29日、東京都板橋区、宮崎亮撮影
[PR]

 4月初めにYouTubeで公開され、ネット上で反響を呼んだドキュメンタリー映画がある。

 高校の廊下で、男子生徒が教師から「指導」されている場面から始まる。教師は「あなたの考える自由……」と言った後、生徒の発言を遮るように「髪染めのことばっかりだよね」と4回繰り返す。

 ナレーションが流れる。「自主自立の校風から『自由の北園』と呼ばれてきた北園高校。その陰に隠された深い闇に迫ります」。画面に映る校舎が揺れ、炎が噴き出すと、映画のタイトルが浮かぶ。

写真・図版
ドキュメンタリー映画「北園現代史」のタイトル画面

 「北園現代史 ~自由の裏に隠された衝撃の実態~」。URLを知らないと見られない「限定公開」にもかかわらず、2日後には再生数1万回を超えた。東京都立北園高校(板橋区)の頭髪指導をめぐる教師と生徒の生々しいやりとりや、有名な卒業生の出演が話題になった。だがもう一つ、この映画が驚きをもって受け止められた理由がある。制作者が現役の高校生だったことだ。

文化祭当日、先輩が呼び出された

 1月中旬。中村眞大(まさひろ)さん(18)は大学入試を控えた北園の3年生だった。勉強の合間に映画の構想メモを作り、友人の長根光輝(こうき)さん(19)にLINEで送った。「これ作りたい一緒に作ろ」

 映画では、学校の頭髪指導などの実態について在学中に撮りためた動画と、在校生や卒業生へのインタビューなどを元に「北園の自由」を問いかけたかった。

 中村さんは自由な校風に憧れて2018年春に入学した。制服はなく校則も緩やか。映像研究部に入り、楽しい毎日を送っていた。

 だがその秋の文化祭当日、学校への疑問を最初に感じた出来事が起きた。司会役の3年生に密着取材していたところ、その生徒が教師に呼び出された。全校生徒の前ではカツラなどで明るい髪色を隠すよう求められたのだという。

 文化祭での髪染めは慣例で許されてきただけに驚いた。19年春には全校一斉の頭髪検査。昨春にはPTA広報誌の表紙写真に茶髪の生徒が映っているとして、学校側が写真の差し替えを求めた。中村さんは「撮れる映像は撮り、残せる記録は残すようにしました」。

ひろゆきさんに「フォローされた!」

写真・図版
中村眞大さんらのオンライン取材に応じる「ひろゆき」こと西村博之さん=「北園現代史」から

 制作に誘われた長根さんは留年が決まったため高3の昨春、北園から他校の通信制に移ったが、中村さんとは連絡を取り続けた。今年1月下旬、「2ちゃんねる」創設者の西村博之さん(44)が映画に出てくれたら面白いねと、2人で盛り上がった。「ひろゆき」として知られる有名人の卒業生だ。長根さんはツイッターの通知機能「メンション」を使い、取材依頼の投稿をした。他人にも投稿が見られてしまうが、直接連絡を取る手段がない以上、この方法しかなかった。

 その夜。スマホにひろゆきさんからのフォロー通知が届いた。思わず自分の部屋を飛び出て母親に駆け寄り、「フォローされた!」と叫んだ。取材アポがとれた。

記事の後半では、学校の頭髪指導に疑問を投げかけた高校生たちが、映画の取材を通じ多くの在校生や卒業生らと対話する姿を描きます。

 映画に度々登場する生徒会長…

この記事は有料会員記事です。残り1595文字有料会員になると続きをお読みいただけます。