対中国「脆弱になりつつある」 米軍事専門家の見る沖縄

聞き手・大島隆
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 沖縄をめぐる安全保障環境は、普天間合意があった25年前とは大きく異なります。中国の軍事的台頭について、中国軍の海洋進出に詳しいトシ・ヨシハラ米戦略予算評価センター上級研究員に聞きました。

 沖縄は戦略的に中心となる場所です。台湾有事と朝鮮半島有事という、ふたつの発火点に近いからです。また、中国本土とも東シナ海を挟んだだけの距離にあります。戦略的にも軍事的にも、非常に重要な場所に位置しています。

 ただ、この地理的な優位は不利な点にもなります。沖縄が中国のミサイルの射程内にあることを意味するからです。中国のA2/AD(接近阻止・領域拒否)システムと戦略の一部は、多くのミサイルなどの武器によって、米国の前方基地を使用不能にすることが目的です。沖縄、特に嘉手納空軍基地は米軍の航空能力の重要なハブであり、中国のミサイルの主要な標的になる恐れがあります。沖縄は重要ではあるが、同時に中国のA2/ADに対して脆弱(ぜいじゃく)になりつつあるということです。

 普天間飛行場移設の努力は、これだけの年月の後も続いています。これは、同盟国の国土への前方展開を変更することを、当然視できないことを意味していると思います。戦略的にも運用上も理にかなっていても、政治的に不安定になりかねないことを示しています。そして地元の反対が、米国と受け入れ国の政治的・外交的な資産を過度に消費する恐れがあります。

 私がより広い観点から言えることは、米国にとっては、より多様な基地の選択肢が必要ということです。インド太平洋地域で広い範囲の基地にアクセスできるということは、政治的および戦略的リスクを軽減させます。特に、中国のA2/ADの脅威へのヘッジ(防衛策)となります。

 軍事衝突が起きたとき、米国と同盟国の兵力は脆弱な主要基地から、迅速により広範囲の安全な基地のネットワークに分散できるようにするのです。そこから敵に対する反撃のため兵力を再編します。分散化は生存の可能性を高めるもので、大規模な最初の攻撃に対する保険のようなものです。(聞き手・大島隆

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 Toshi Yoshihara 1972年生まれ。米海軍大学教授を経て米戦略予算評価センター上級研究員。著書に中国軍の海洋戦略を研究した「太平洋の赤い星」(共著)など。