「試合に勝って勝負で負けた」 智弁vs天理の奈良対決

山口裕起
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 センバツ4強の剛腕と、8強の強打者が県大会で対決――。

 今春の選抜大会に出場した高校同士の対決となった高校野球の春季奈良県大会決勝は15日、選抜大会8強の智弁学園が3―1で同4強の天理を破り、2年ぶり16度目の優勝を飾った。

 この試合は個人の対決でも注目された。ともにプロが熱視線を送る天理のエース達孝太(3年)と智弁のスラッガー、前川右京(3年)だ。

 最初の対決は五回。2番手でこの回から身長193センチの右腕がマウンドに上がると、バックネット裏にいたプロ各球団のスカウト陣がざわつき出した。スピードガンを片手に、体勢が前のめりになる。

 先頭で左打席に立ったのが2番・左翼の前川だ。「気合が入った」と達。カウント2―2から、最後は高めの146キロで空振り三振に。七回はフォークを連投し、見逃し三振。九回は左飛に仕留めた。

 3打席とも抑えられた前川は「甘い球もあったけど、力んでしまった」と悔しさをにじませた。

 ただ、2人はともに本調子ではない。最速148キロの達は選抜大会中に脇腹を痛め、高校通算30本塁打超の前川も春先の不振から抜け出せていない。

 試合後、2人が口にしたのは、約2カ月後に迫る夏への思いだった。達が「いい打者なので夏も抑えたい。きょうは見逃した時とかの反応を確かめられた」と言えば、前川は「試合には勝ったけど、達との勝負は負けた。夏はやり返す」。直球やフォークの軌道はしっかり頭に残っている。「毎日イメージしながら練習したい」と誓った。

 春と違って、奈良県で1校しか行けない夏の甲子園。チームの勝敗はもちろんだが、2人の意地のぶつかり合いでもある。この日得た収穫を糧に、ライバル対決は最終章へ向かう。(山口裕起)