コロナ禍で日本の街角から中国人訪日客が消えた一方、中国人によるネット経由での日本製品の購入が活況を呈している。外国からネットで買い物をする「越境EC」で、日本は中国にとって最大の購入先。旺盛な需要で航空貨物が急増しており、中国の物流大手は日中便の拡充を計画する。
美容機器メーカー、アーティスティック・アンド・シーオー・グローバル(岐阜県羽島市)は、中国向けなどに製品を販売している。同社の2020年の越境ECの販売額は、19年から5割以上伸びた。執行役員の呉垠さんは「ネット上での情報発信を強め、KOL(キー・オピニオン・リーダー)を通じた販売を組み合わせて、販売効果を高められた」と話す。
「KOL」とはSNSで多くのフォロワーを持ち、消費者への影響力を持つ人で、中国での商品PRには重要な存在だ。消費者の質問をリアルタイムで受け付ける「ライブコマース」などを通じて、商品を効率的に売り込んでくれる。
コロナ禍で外国旅行ができなくなった中国人はネット通販で爆買いを続ける。中国税関総署によると20年の中国の越境ECによる購入額は、コロナ前の19年より16・5%増えて5700億元(約9・7兆円)となった。中国商務省によると、19年の消費者向けの最大の購入先が日本で全体の20・8%を占めた。化粧品や日用品などが人気で、米国(16・0%)、韓国(10・7%)を上回った。
日本発の航空貨物は好調で…