先生、ピアスはなぜ校則で禁止? 私服勝ち取った2年間

西堀岳路
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 「学校生活にふさわしい服装と容姿を、状況や他者にも配慮して自身で判断すること」。筑波大付属坂戸高校(埼玉県坂戸市)は4月から制服に加えて私服を導入し、校則で15項目あった「整容」の規定を、この一文だけにした。校則に疑問を持った生徒たちが、2年近く学校側と話し合い勝ち取った自由。運用後の問題点も、自分たちで改善していくことにしている。

 男女とも制服のみだったころの校則は、「(ソックスは)柄物、奇抜な色は認めない。儀式の時は白黒紺とする」「化粧は認めない。色つきリップクリームも化粧とする」などと細かかった。2019年春の生徒会総会で「ピアスはなぜ禁止なのかを先生は説明できるのか」などと疑問が投げかけられたのをきっかけに、生徒会を中心に学校側と協議を始めた。

 学校側も「生徒に自主性を求めながら、校則で縛るのは矛盾している」と認め、かじを切った。自由な校風の象徴となり、特に帰国子女らの入学希望者を増やすことにつながるとの思惑もあった。オーストラリアで教員経験がある生徒会担当の中台昇一教諭は「これからの時代、自分で問題を解決できる能力がないと、『自分で考えなさい』と言われて育った外国の人に太刀打ちできない」と話す。

 4月28日、生徒会役員と全学年各学級に2人ずつの評議員、一般の生徒有志ら計50人ほどが集まった。新校則を持続可能なものにして引き継いでいくための内省会。制服姿の生徒も交じっていた。「体育の授業で先生からピアスを外すように言われた。体育の時の規則を決めてほしい」「肩の露出はどこまでOKか基準を示して」「外部に学校が荒れている印象を与えないか」など、感じた問題点や要望などを出し合った。

 進行役の生徒会側は「外部に対しては事情を説明する文書を作ろう」などと応じる一方、出された意見は評議員が持ち帰り、各学級で考えをまとめて2回目の内省会で話し合うことを提案をした。

 基準化を求める意見も多かったことに生徒会長で3年生の塩川遥香さん(17)は「いきなりファッショナブルになる人もいれば、『これはいいの?』と一つ一つ聞いてくる人もいる。校則に従ってきたこれまでから急に自由になったので、みんながなじむのに時間はかかると思う」と話した。改めて各学級で話し合うことにしたのは、「全員が自分のこととして考えてほしい」との思いからだという。

 塩川さんは「個々が自分で考え、判断していくのが新しい校則の理念。この大前提をみんなに浸透させていくことが今の課題です。校則があった方が楽と思ったこともあるくらい大変ですが、自由を守りたい」。生徒たちの挑戦は続く。(西堀岳路)