忍者にならざるを得ない国、日本 横断歩道渡れないんで

森直由
[PR]

 歩行者優先を訴える一風変わった啓発動画を、岡山市の自動車販売会社「岡山トヨペット」が制作し公開している。岡山では信号のない横断歩道で多くの車が止まらないとの調査結果をふまえ、全ての歩行者が忍者修行をして横断歩道を渡るという設定だ。

 動画は「Road to Ninja ~一億総忍者の国~」(90秒)。「これくらいできないと、いつまでも(横断歩道を)渡れないんで」と言う女子高生が、学校の廊下でバク転をする。スーツの男性や子供、高齢者らも曲芸のような動きで横断歩道を渡り、歩行者優先なのに、多くの車が停止しない実態をシニカルに映す。

 日本自動車連盟(JAF)の昨年の調査では、岡山県内の信号のない横断歩道で歩行者がいた場合、一時停止をした車の割合は7・1%(全国平均21・3%)。都道府県別ではワースト3位だった。この結果を受け、岡山トヨペットは「日本文化の象徴の一つ」として忍者を登場させ、動画を制作。春の全国交通安全運動に合わせ、同社ホームページや動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開した。

 ユーチューブの視聴は早々と20万回を超えた。末長一範社長は「多くの方に見てもらい、横断歩道の歩行者優先ルールを守ってほしい」と呼びかける。

 忍者研究の第一人者で、大学院の専門科目に「忍者・忍術学」を設けている三重大人文学部の山田雄司教授は「海外では、日本に忍者がまだ多数存在していると思われているが、それを逆手にとったインパクトのある動画」と評価する。「忍」の精神が、余裕のある運転につながることを期待しているという。(森直由)