「三重の真珠守る」アコヤガイ稚貝の大量死、県が新施策

大滝哲彰
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 真珠をつくるアコヤガイの稚貝の「斃死(へいし)」が、2019年から三重県志摩市の英虞湾などで大量に発生している。その被害を抑えようと、県は自治体や真珠養殖業者の役割を示す「アコヤタイムライン」を策定し、運用を始めた。

 県水産振興課によると、稚貝の斃死について県内の真珠養殖業者を対象にアンケートしたところ、斃死率は19年が70%、20年が44%だった。通常の斃死率は15%ほどだが、黒潮の流れの変化による海水温の上昇が一つの要因となり、斃死が広がっているという。

 タイムラインでは、斃死を最小限に抑えるため、ステージを3段階に分け、県や市町、県内295の真珠養殖業者などの役割を整理した。

 「準備段階」とするステージ1は、稚貝の飼育が本格的に始まる4月下旬から適用。稚貝のストレスを緩和するため、海水温が低くなる深い位置で飼育したり、揺れによる斃死を防ぐために漁業者に遅い速度での航行を要請したりする。ステージ2では、こうしたストレス緩和対策の徹底を呼びかける。

 海水温が28度になる前には、「警戒」レベルのステージ3に移行。貝の代謝量が増えて斃死の危険が高まるため、稚貝のストレスとなる漁場間の移動や稚貝を真水にさらす「淡水処理」は中止する。いずれの段階でも、大量の斃死が確認された場合は、すぐに「緊急対応」するという。

 鈴木英敬知事は「今年も英虞湾の海水温は高く推移しているが、真珠養殖業者の不安を払拭(ふっしょく)するためにも、斃死被害を抑えないといけない。この難局を乗り越え、世界に誇る三重の真珠を守りたい」と述べた。(大滝哲彰)