「失敗しない男」が流した涙 体操萱を五輪へ導いた思い

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山口史朗
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 体操の東京五輪代表選考会を兼ねたNHK杯は16日、長野市のビッグハットで男子があり、個人総合では橋本大輝(順大)が全日本選手権との合計259・530点で初優勝を果たした。2位の萱(かや)和磨(セントラルスポーツ)とともに、初の五輪代表に内定した。

 男子団体メンバーの残る2人は、6月の全日本種目別選手権が終わった時点で橋本、萱との組み合わせでチームとして高得点が期待できる選手が選ばれる。鉄棒に専念して個人枠での五輪出場を狙う内村航平(ジョイカル)は、15・333点で1位だった。

 同い年のライバルとの、熾烈(しれつ)な競り合いだった。

 体操の東京五輪代表をかけたNHK杯。この大会で内定を得られるのは上位2人だけだ。2位の谷川航セントラルスポーツ)と0・032点差の3位でスタートした萱(かや)和磨(同)は、自らに言い聞かせ続けた。

 「自分に勝つ!」

 千葉・習志野高の出身。谷川も同じ千葉の市船橋高で体操に励んだ。高校3年の高校総体で個人総合を制したのは谷川だった。

 順大、セントラルスポーツでは仲間として汗を流してきた。

 萱は「(谷川)航とはプライベートでも遊びに行ったり、メシに行ったり。同じチームで団体戦に出たり、世界選手権に出たり。お互いに、日本が(世界で)勝つんだという思いがある」。

 個人としてはライバル、団体では仲間として、何度も何度も戦ってきた。

 そして、この日。過去にないほどハイレベルでの争いになった。

 萱が2種目めのあん馬で14・866点を出すなど、一時は逆転。だが、谷川も4種目めの跳馬で、最高難度の「リ・セグァン2」の着地をピタリと止める。15・533点で再びひっくり返した。平行棒でさらに差を広げ、0・599点差で最終種目の鉄棒を迎えた。

 先に演技したのは、萱だった。バーをつかむ前に考えたのは、ライバルであり仲間のことでも、順位のことでも、五輪のことでもなかった。

 「二度とミスるか!」…

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