京の街に「天使」みつけた 不思議な地名訪ね歩くと…

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高井里佳子
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「天使突抜」の一帯は住宅街だ。広報板やマンション名に「天使」の文字を見つけることができる=2021年5月14日、京都市下京区、高井里佳子撮影
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古都ぶら

 長い歴史を持つ京都市内で難読地名はさほど珍しくはないが、たまに想像をかき立てる不思議な住所に出くわすことがある。その代表格が「天使突抜(つきぬけ)」だ。由来を求めてかいわいを訪ね歩くと、「天使」を見つけてしまった。(高井里佳子)

 マンション名やコインパーキング、ごみ箱、広報板など至るところに「天使」の文字が見える。

 下京区の東中筋通。道に沿って南北に延びる天使突抜の町は、北から順に1~4丁目からなる。閑静な住宅街で、端から端まで徒歩で10分もかからない。

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「天使突抜」の由来となった五條天神宮=2021年4月12日、京都市下京区、高井里佳子撮影

 名前の由来は、1丁目の東側にある小さな神社、五條天神宮で見つかった。

 神社は794年の平安京遷都に伴って大和国(今の奈良県)から神々を勧請したのが始まり。その一つ、少彦名命(すくなひこなのみこと)は「天子」とも呼ばれ、神社は当初は「天使の宮」を称していたという。宮司の佐々部昭一さん(63)は「天子は天皇を表すので同じだと失礼だと考え、『使』としたのかもしれません」と推測する。

敷地を貫通する道

 佐々部さんによると、天使突抜一帯はかつて神社の広い敷地の一部だった。いつのころか不明だが、敷地を貫通する道ができた。天使の宮を突き抜けたから「天使突抜」というわけだ。後鳥羽天皇(1180~1239)のころ、神社は今の名称に変わったというが、「今も天使さんと言わはる人もいる」。

 ちなみに、京都地名研究会長で龍谷大の小寺慶昭名誉教授(73)によると、「突抜」は建物などを通り抜けるように作られた路地の呼び名で、市内に25以上あったとされる。豊臣秀吉が洛中を区画整理した時にできたとの説がちまたで広まるが、これを示す記録は残っていないという。

 天使の由来はさておき、この神社を語る上で欠かせない情報をもう一つ。牛若丸と弁慶の最初の出会いは、この神社の近辺だったというのだ。

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