第13回沖縄へ基地押し込む「日本の都合」 元市長の見た辺野古

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聞き手・寺本大蔵
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証言 動かぬ25年 普天間返還合意
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 米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設先に浮上して25年近く。辺野古を抱える名護市の歴代市長は5人目になりますが、「移設反対」を掲げて市長になったのは唯一、稲嶺進氏(75)だけです。鳩山由紀夫民主党政権から安倍晋三政権にかけて、2期8年の間に起きていたこととは。そこから見えたものとは。

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なぜ、普天間は動かないのか。これからどこへ向かうのか。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の電撃的な返還合意から25年。節目の今年、ワシントン、東京、沖縄にいる朝日新聞記者たちが、日米沖の政治家や官僚、識者や普天間周辺で暮らす人たちに取材しました。

 ――市長に就任して4カ月後には、鳩山民主党政権が、やっぱり辺野古に移します、となりました。その後、菅直人政権になります。

 「覚悟はしていましたが、えげつないと思いました。のどまでのみ込んだ食べ物を、取り出されたような感じがありました」

 ――移設への協力を前提に国が市町村に支払う「米軍再編交付金」のことですね。移設容認の前市長時代、名護市に支払われていましたが、不支給となりました。

 「公民館や道路整備など、前の市長が(再編交付金を使って)始めた事業は終わらせないといけません。最初は、前年度からの継続事業は認める、という話でした。しかし、2010年12月、『ゼロ回答』と知らされました」

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稲嶺進氏が主に普天間飛行場返還にかかわったのは

 いねみね・すすむ 1945年生まれ。名護市出身。琉球大卒業後、市役所に就職し、総務部長や教育長を歴任。2010年名護市長選で初当選した。18年市長選で、安倍前政権が支援し、自身は移設の賛否を明言しなかった渡具知武豊氏(現市長)に敗れる。

 ――再編交付金は、稲嶺さんが敗れて、今の渡具知武豊市長が当選すると、支給が再開されています。

 「(再編交付金は、移設への協力が前提でしたが)渡具知市長は、反対と言っていないから、交付の対象になるそうです。恣意(しい)的です」

 「かつて再編交付金は、公共事業が対象でした。ところが今は、学校給食費や保育料も対象となっています。もし再編交付金が打ち切られたらどうするのでしょうか。再編交付金は、地方自治法地方財政法も全くゆがめたものにしています」

《米軍再編で基地負担が増える自治体に対し、工事着工など進展度合いに応じて支給されたのが、米軍再編交付金。自治体の姿勢によって国が減額や停止を決定できる規定があり、2007年度に始まり全国の市町村に配分されるなか、名護市は初めて支給が打ち切られた。18年に自民党政権が支援した渡具知武豊氏が市長に就くと、防衛省は支給を再開した。渡具知氏は今も、移設の賛否は明言していない》

 ――12年末に政権を奪還した自民党政権時代は、どうでしたか。

 「裁判所や会計検査院など、国の組織はいったいなにをしているのかと思いました」

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 ――沖縄県や名護市といった…

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連載証言 動かぬ25年 普天間返還合意(全13回)

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