• アピタル

薬物依存の息子、言いなりの父 悪循環を抜け出した一言

有料会員記事

片田貴也
[PR]

 著名人が薬物で逮捕されるたびに、批判の声があがる。薬物は悪だ。だが、「意志が弱い」「快楽主義者」などの偏見から謝罪や罰だけを求める風潮が強いことに記者(27)は違和感を覚えてきた。依存症は、「孤立の病」とも呼ばれる。当事者やその家族が、偏見から社会に助けを求められずに悩みや苦しみを抱え込みやすいためだ。治療や支援へのつながりにくさから薬物事犯の再犯率は高い。アルコール依存症を経験した人は全国で約107万人(厚生労働省調査)と推定されるが、うち治療機関につながったのは約5万。社会は依存症にどう向き合えば良いのか。薬物依存症の子を持った父親、アルコール依存症の男性の姿を通してともに考えたい。

写真・図版
次男とのやりとりのメモを見る男性=2020年12月20日午前9時35分、茨城県内

「金、振り込めや」 別人に変わった息子

 プルルル、プルルル――。

 深夜3時、自宅に響く電話の音で、布団の中にいた男性(64)は目を覚ます。心拍が速まる。男性は電話のある1階へと階段を重い足取りで下りる。受話器に耳をあてると、都内で一人暮らしをする次男(34)の声だった。「金、振り込めや」。強く迫ってきた。またか。

 「あの日々は地獄でした」。千葉県内に住む会社員男性は、15年ほど前をこう振り返る。

 次男は、中学3年の時にいじ…

この記事は有料会員記事です。残り5403文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら