零細企業にLVデザイナーから突然電話… そして会社は

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編集委員・後藤洋平
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 和歌山県橋本市の山あいにある「岡田織物」は主にフェイクファー(人工毛皮)を製造・販売する会社だ。約10年前のある日、社長と従業員あわせて4人、しかもうち3人は家族という零細企業に、ルイ・ヴィトン(LV)のデザイナーから1本の電話がかかってきた。「御社の素材を使いたい」。その後、プラダやシャネル、モンクレールといった海外の一流ブランドとも取引も重ねるようになった。どんなところが認められたのだろうか。

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岡田織物のショールームには、フェイクファーを使った服も展示されている=和歌山県橋本市

 「電話に出たら、相手はマーク・ジェイコブス本人だったんです」。社長の岡田次弘さん(59)が回想する。ジェイコブスは2014年春夏シーズンまで16年間にわたってLVのデザイナーを務め、自身の名を冠したブランドで現在も発表を続けるファッション界のトップランナーの一人だ。

 LVが「レディースのコレクションで使いたい」と指定してきたのは、樹脂で加工を施し、独特の毛羽立ち感のあるファー生地だった。実は岡田さんが以前から「いつかLVのようなブランドに使ってもらいたい」と考えて開発した商品だった。「それまで大手メゾンの仕事はなかったのに、LVが使ってくれたおかげで一気に数々の有力ブランドから声がかかった。人生が変わりましたよ」。2017年にグッチがリアルファーの不使用を宣言し、その後多くのブランドが追随したことで、更に勢いが加速したという。

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岡田織物のショールーム=和歌山県橋本市

 創業は1932年。80年代…

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