2030年「62%削減」を 強い温暖化対策求める若者

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神田明美、香取啓介
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 若い世代から、菅義偉首相が打ち出した2030年度の新しい温室効果ガス削減目標46%(13年度比)について、「足りない」という声が上がっている。産業革命からの気温上昇を1・5度までに抑えるため「さらに62%まで削減目標の引きあげを」と求めている。なぜ46%では足りないのか、62%の根拠は何なのか。

 菅首相が46%の削減目標を発表した4月22日、夕方の発表に先立って、若者や賛同した人たちが、23都道府県67カ所で新たな削減目標を高く設定するよう求めてプラカードを掲げた。各地で掲げられたのは、30年度までに「62%削減」だ。

 京都市の中野一登さん(19)と寺島美羽さん(19)は、「温室効果ガス削減目標の大幅引き上げを求めます」「私たちは気候危機を止められる最後の世代」と書かれた横断幕を持ち市中を歩いた。寺島さんは「地球の未来を守る62%」と書いたプラカードも肩からさげた。

 歩き終わって間もなくして発表された、新しい30年度の削減目標に、中野さんは「削減が可能な数字を積み上げるのではなく、1・5度に抑えるために必要な削減目標を定め、それに向かって対策をとってほしい」。寺島さんは「今後も62%削減するよう求めていく」と語った。

 この日、東京・霞が関経済産業省前でも若者ら約10人がプラカードを掲げた。初めて学校を休んで参加した高校2年の広瀬みのりさん(16)は、「自分の責任でここに来た。(削減目標の数値が発表されても)私たちが立っていなければ、(62%は)あきらめたと思われる。安心して学校に行ける社会をつくって欲しい」と話した。

 なぜ、「62%」が大事なのだろうか。

 この数字の背景には欧州の科学者のプロジェクト「クライメート・アクション・トラッカー」が3月に発表した報告書がある。産業革命前に比べ世界の気温上昇を1・5度までに抑えるため、日本が必要な削減目標として「30年に13年度比62%削減」と盛り込まれていた。以降、若者たちが「62%削減」を求め始めた。

 「62%」は、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が18年に公表した「1・5度特別報告書」で使われたシミュレーションのうち、気温上昇が1・5度を大きく超えずに推移する場合の数字だ。

 いったん1・5度上昇よりも大幅に気温が上がると、下げるためには、大気中の二酸化炭素をとらえて減らす技術など、まだ実現していない技術に頼らざるをえなくなる。温暖化を実際に止められるか不透明だ。

 地球温暖化防止の提言や活動をするNGO「気候ネットワーク」も、クライメート・アクション・トラッカーの報告書を元に、30年度削減目標を60%へ引き上げるよう求めている。

後半にインタビューも

記事後半では「62%削減必要」報告書の執筆者へのインタビューも紹介します

 地球温暖化が進むほど、若者やこれから生まれる次世代が影響を受ける。影響をできる限り少なくするため、地球温暖化の国際枠組み「パリ協定」は気温上昇を1・5度までに抑える努力目標を掲げるが、世界気象機関はすでに約1・2度上昇したとしている。

 早ければ30年にも1・5度に達するとIPCCが指摘しており、緊急に温暖化の進行を止める必要があるため、高校生や大学生の世代が政府やビジネス界に対し、高い目標を求める声を上げている。

 政府は、温室効果ガスの大き…

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