第3回はるな愛さんが見た「K-POPの芽」 30年前の記憶

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大部俊哉
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「K」の軌跡③

 米ビルボードのシングルチャートで初登場1位を獲得し、グラミー賞の主要部門にもノミネートされた「BTS(防弾少年団)旋風」によって、「K-POP」は世界で大きな地位を築いた。パフォーマンス力や発信力など理由はさまざまに言われるが、韓国通のタレント、はるな愛さんが挙げるのは「取り入れる力」だ。その片鱗(へんりん)は、30年ほど前に韓国を訪れたころから見て取れたという。自らK-POPの曲をカバーして歌った経験があり、2013年には韓国観光名誉広報大使に任命されたはるなさんが、自らの経験をもとにその潮流をひもといてくれた。

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Kの軌跡③ デザイン・福宮千秋

 ――まず、はるなさんにとってK-POPとは?

 「一言で言うなら、『完璧』という言葉が似合うでしょうか。ダンススキル、ファッション性、歌唱力の高さはよく言われますが、加えて私が感じるのは、女性であること、男性であることの武器や個性を最大限に表現するタレント性です。それら全てに完璧を目指しているのがK-POPだと思います」

 「男性だと、例えばぱっと服を翻して肌を見せる演出ひとつとっても、筋肉がしっかり作り上げられ、その一瞬に向けてすさまじいトレーニングをしているのがわかる。包容力や頼りがいを感じます。女性なら、レベルの高いダンスや歌唱の中に、女性が持つ可愛らしさと色っぽさの両方を表現しています。一方で、日本の歌手はジェンダーレスな雰囲気を持つ人が多くなっている。どちらも魅力的ですが、韓国はすごくはっきりしている。そうした違いがあるように感じます」

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タレントのはるな愛さん=藤原伸雄撮影

――ファッション性も注目されていますね。

 「特徴は『一つ多い』ファッション。このリボンさえなかったらもっとあっさりとバランスが取れるのに、両方付けちゃう、みたいな。私も憧れて、テレビ出演時の洋服を選ぶときに『一つ多い』コーデをするようにしてます。韓国ではビルの形から、店の飾り付けや扉のデザインまで、奇想天外で考えもしないようなものを街でよく目にします。そうした日常で培われた感性がファッションに響いて、音楽にもつながっているのかなって感じます」

 「アメリカの人気ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』のスタイリストの女性に、ソウルのショッピングエリアである東大門のファッションビルで会ったことがあります。すごくおしゃれなドラマなんですが、アメリカ人も韓国のファッションに注目しているんだなと実感しました。実際にBTSや(4人組女性アイドルグループの)BLACKPINKといった韓国のアーティストが欧米のファッションや美容のブランドのアンバサダーに選ばれていますよね」

――ミュージックビデオ(MV)やバラエティー番組といった映像戦略も強力です。

 「MVは、何回場所変えて撮るんだ、というぐらい色んなシーンや衣装が出てくる。そこまでお金をかけて作り込んで、無料で公開してしまう。国を挙げて力を入れているからこそ可能なのかもしれませんね」

 「リアリティーショーやドキュメンタリーで、アイドルの素顔を見せるような番組が韓国で流行しています。私は(韓国の女性歌手の)イ・ヒョリさんが大好きなんですが、ヒョリさんが済州島の自宅で民泊を提供する『ヒョリの民泊』というバラエティー番組があります。飾らない素顔から人間味が伝わってくる。料理にたとえると、出来上がった料理が目の前に出てくる感動ももちろんありますけど、それが出来るまでの調理の仕方やつくっている人の顔が見えるような、そこまですべて含めてパッケージングしたエンタメがありますね。挑戦する姿がみえて、刺激を受けます」

 ――韓国との出会いはいつですか。

連載「K」の軌跡

冬のソナタ」で韓国のエンタメが注目される10年以上前に「K-POPの芽」を感じとっていたという、はるな愛さん。それはどんなものだったのでしょう。連載の第3回です。

 「私が初めて韓国に行ったの…

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