第4回ライトなファンも踊ってる 韓流の枠を超えたK-POP

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大部俊哉
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「K」の軌跡④

 東急東横線学芸大学駅東京都目黒区)にほど近い商店街の一角にあるビルの階段を上ると、韓国の人気アイドルグループ・BTS(防弾少年団)のヒット曲「Dynamite(ダイナマイト)」に合わせ、リズムよくダンスシューズの足音が聞こえてきた。2011年に開校した「Dance Studio Cielo(ダンススタジオ・シエロ)」は、「日本初のK-POP専門ダンス・スクール」として知られる。K-POPは若者らの間でどのように浸透していったのか。ダンスを通じ、現場からその光景を見続けてきたスタジオ代表の町田真吾さん(41)が振り返った。

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デザイン・福宮千秋

――ダンスの現場からみて、最近のK-POP人気の傾向はどうですか。

 「レッスンでは、使用する音源のリクエストを生徒さんから受けつけています。2011年ごろはK-POP全体を広く深く好きなコアファンが中心でした。全部ひっくるめて好きで、まんべんなくチェックしているというような。そこから一転、近年になって『ライトなファン』が急増したんです。『韓国という国や韓国文化にそこまで興味があるわけではないし、(コリアンタウンのある)東京・新大久保にも行かないけど、(韓国の女性9人組グループ)TWICEが好き』とか、『K-POP全体にはさほど興味ないけどBTSは好き』、みたいな」

 「そうした『ライト層』は現在も加速度的に増えています。その中でも、特に3年ほど前からは韓国の男性アイドルではBTSの人気が頭一つ抜けていますね。BTSの曲を使うレッスンは募集するとすぐ定員が埋まり、増設してもまたすぐ埋まる、の繰り返しです。ちなみに次いで最近は、男性ダンス&ボーカルグループ『NCT』が人気です」

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米ニューヨークのセントラルパークで2019年5月、ABCのテレビ番組「グッド・モーニング・アメリカ」に出演したBTSのメンバー=ロイター

――「韓国」とか「韓流」のようなくくりがあまり意識されなくなってきているということでしょうか。

 「そう感じます。2011年ごろはまだ、K-POPは韓国文化の一つ、という感じでした。今も韓流ドラマは韓国のものという前提で見ている人が多いと思いますけど、K-POPはここ2、3年で国という概念を超えて、一つのジャンルとして独立しつつあると思います。KはコリアのKってわかってはいるけれども、そんなに意識されていない。必ずしも韓国という国と密接に結びついていないんです。ロックやヒップホップ、ジャズといったジャンルって、国籍を問わないじゃないですか。K-POPもそうなりつつあるのかなと。メンバーも多国籍になり、無国籍になってきている」

 「K-POPって特殊で、アイドル文化と、ダンス文化、クラブミュージック文化の三つをごっちゃにしたようなジャンルです。それは、入り口が三つあるということです。ジャニーズファンのようなアイドル好きの人、ダンサーも含めて元々ダンスを好きでやっていた人、クラブミュージックが好きで聴いていた人。いろんなカルチャーの人間を色んな方向から巻き込んでいる。そこが強みだと私は思っています」

連載「K」の軌跡

世界的な現象となっているK-POP。約10年前に開校した 「日本初のK-POP専門ダンス・スクール」で、その移り変わりをききました。

 町田さんはもともと、熱心な…

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