リンゴ日報、台湾版が停刊 香港政府は創業者の資産凍結

台北=石田耕一郎
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 香港国家安全維持法国安法)違反で起訴された民主化運動の重鎮、黎智英(ジミー・ライ)氏(72)が率いるメディアグループ「壱伝媒」が、経済的にも締め付けられている。グループ発行の「リンゴ日報」台湾版は財政上の理由から17日付を最後に停刊。グループの7割強の株式を所有する黎氏が香港政府による資産凍結を受け、経営への影響が出る可能性もある。

 同紙台湾版は17日付紙面の社説で「民主主義と自由を信じるとともに、社会正義を追求し、権力者の監督を信念としてきた」などと説明。停刊の理由を「世界的な新聞メディアの経営難に加え、同グループが香港で受けた政治的な圧力」と記した。

 この日は、香港の大規模デモや李登輝元総統の死去といった過去の重大ニュースを伝えた日の1面を並べて再掲した。今後、電子版の発信は続けるという。

 さらに香港政府の14日の発表によると、最大5億香港ドル(約70億5千万円)の資産を凍結された。国安法に基づく措置で、黎氏が所有する壱伝媒の株式のほか、所有する3社の金融機関の口座が対象という。

 黎氏は1995年に香港でリンゴ日報を創刊。2003年に台湾での発行も始めた。台湾版は最大で約72万部に上ったが、最近は部数が落ち込んでいた。同紙は黎氏の逮捕後も香港・台湾版の両方で、黎氏の言葉や、言論の自由が認められてきた香港を支持する識者の声を紙面で連載している。(台北=石田耕一郎)