聖徳太子ゆかりの名品、奈良博に 1400年遠忌

編集委員・中村俊介
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 聖徳太子1400年遠忌記念の特別展「聖徳太子法隆寺」が奈良国立博物館奈良市)で開催中だ。法隆寺と太子ゆかりの寺宝が集い、あなたにも見覚えがあるはずの、あの逸品にも出会えそう。

 日本に仏教を広め、崇高な理念で国造りに邁進(まいしん)した太子。後世は神格化され、人々の信仰を集めた。世界遺産の古刹(こさつ)に伝わる飛鳥時代以来の遺品群もまた、太子の威徳をしのばせる名品ばかりだ。

 金堂東の間におわす薬師如来坐像(ざぞう)は、民の苦しみを癒やす柔和な笑みを浮かべた口元がとりわけ印象的。太子が旨とした「和をもって貴しとなす」を体現するかのごとき慈愛に満ちる。普段目に触れることのない光背裏面の銘文は法隆寺創建に絡む研究史上著名な文言で、必見だ。悪夢を吉夢に変えてくれるという「夢違観音」の、どこか深遠な表情も胸にしみ入る。

 二歳像や伝七歳像、孝養像、水鏡御影といった太子の写し姿は知性と威厳をたたえているし、五重塔に安置された羅漢たちの、塑像(そぞう)ならではのリアルさはどうだ。釈迦の入滅に激しく身もだえし慟哭(どうこく)する迫真の姿は、時を超えて見る者の胸を打つ。

 「日本書紀」(後期)と並んで法隆寺の縁起に欠かせない「上宮聖徳法王帝説」(前期)や、太子自身の手になるという「法華義疏(ほっけぎしょ)」(後期)も見逃せない。

 仏教工芸の傑作、玉虫厨子(たまむしのずし)も出展。その名の由来となった玉虫のはねは長い年月で多くが失われたが、よく見ると虹色にきらめく幸運な残存部分も。会場で目をこらして探してみてはいかがだろう。

 6月20日まで。展示替えあり。事前予約優先制。(編集委員・中村俊介