入管法改正案、今国会断念 焦点は死亡事案解明と修正案

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横山翼
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 外国人の収容や送還のルールを見直す出入国管理法改正案について、政府・与党は18日、今国会での成立を断念した。立憲民主党など野党が、入管施設で収容中だったスリランカ人女性が死亡した事案の真相解明を求め、与野党間で法案の修正協議も行われるなど、攻防が激化していた。与党は世論の反対なども考慮し、採決の強行は得策でないと判断した。

 18日は午後の衆院本会議で、野党側が先週出した衆院法務委員長の解任決議案に関する採決が予定されていた。直前、自民党公明党の幹事長と国会対策委員長が会談し、「国会を正常化するため、入管法について、これ以上審議を進めない」ことで一致した。

 その後、自民と立憲の幹事長会談が開かれ、自民の二階俊博幹事長から、この方針が伝えられた。立憲の福山哲郎幹事長は「今国会の採決を見送ったと判断する。法務委員長解任決議案は取り下げる」と応じた。

 強制退去処分が決まっても、送還に応じない外国人は年3千~4千人になり、収容の長期化が課題となっていた。入管法改正案には、難民認定手続き中の送還停止規定の適用を新たな相当の理由がなければ2回までに制限▽送還妨害行為などに対する退去命令と罰則の新設▽入管当局が選定する「監理人」の監督のもと施設外での生活を可能にする「監理措置」の導入――などが盛り込まれている。

 ただ、司法の審査によらず入管当局が収容の可否を決め、収容期間に上限もないことに、難民支援団体や野党などが「国際人権基準に基づいて改めるべきだ」と問題視した。

 3月には、名古屋出入国在留管理局の施設でスリランカ国籍のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が亡くなり、野党は入管当局の対応に問題があるとして批判を強めた。出入国在留管理庁が4月に出した中間報告では、容体を懸念した医師が「仮放免」を勧めた事実を記載していなかったことも発覚。野党は「隠蔽(いんぺい)だ」として、真相解明が審議や採決の前提と主張した。施設の居室での処遇の様子を記録したビデオ映像の開示を繰り返し求めたが、政府は「保安上の観点」などを理由に拒んだ。

 与党側は14日、立憲との修正協議に臨み、大筋で合意するに至ったが、野党側がビデオ映像の開示を求めると交渉は決裂。野党が法務委員長の解任決議案を出した。

「政府が修正協議をどう受け止められるのかにかかっている」

 今国会での採決が見送られた入管法改正案は、今秋までに衆院の総選挙があるため、廃案となる可能性が高い。仕切り直しとなった同法案について、与党からも、政府に再検討を求める声が出ている。

 18日の自民、公明両党の会…

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