第6回元米国防長官「ICBMは不必要」 偶発的核戦争を懸念

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ワシントン=渡辺丘
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米国核戦力 現場から⑥(最終回)

連載「米国核戦力 現場から」

米国の核戦力の現状を、最前線の取材で伝える連載です。6回目は、クリントン政権で国防長官だったウィリアム・ペリー氏のインタビューです。米ソ冷戦期、米国にICBMが飛んできているとの誤報を受け、核戦争の恐怖を感じたペリー氏が核兵器の近代化などについて持論を展開します。

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 かつて米国の核政策に深く関与したウィリアム・ペリー元国防長官(93)は朝日新聞のインタビューに応じ、今年1月に発効した核兵器禁止条約について「核兵器保有を不道徳としており、支持する」と明言した。米国の国防長官経験者が核兵器を史上初めて違法とした条約への支持を明言するのは異例のことだ。

 ペリー氏は、「核兵器なき世界」の理念を訴えたオバマ元大統領の政策に影響を与えた「四賢人」の一人と言われている。オバマ氏の理念を受け継ぐバイデン政権の核政策の行方についても聞いた。

 ――今年1月に発効した核禁条約について、どう考えていますか。

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朝日新聞のオンラインでのインタビューに答えるペリー元米国防長官=2021年2月8日、渡辺丘撮影

 「核禁条約を批判する人たちは、核保有国は署名しないので、何の効果も無いと言ってきた。だが、この条約は道徳的な基準だ。核兵器は道徳的に間違いとしている。非核保有国が核保有国に対し、核保有は不道徳だと言っている。その観点で、私は支持する。米国が近い将来、署名するとは思わないが、条約を支持する。良いことだと思う」

 ――米国は核不拡散条約(NPT)には参加しています。

 「NPTは米国を含め、世界中のほとんど全ての国が参加している。NPTは、脱退した北朝鮮は例外だが、非核兵器国に核を保有させない一方、核保有国に核軍縮に誠実に取り組むことを求めている。だが、米国とロシアは義務とは反対に、核兵器の数を増やさずに近代化や更新を進めて強化している」

 ――核禁条約と、NPTの参加国の溝を埋めるにはどうしたらいいですか。

 「核禁条約とNPTは、核兵器なき世界をめざす目標は同じだ。核禁条約は核保有国に圧力をかける。行動を強制できないが、再考を迫る。米国は条約に加わらなくても、その存在を尊重すべきだ」

記事後半では、ペリー氏はオバマ政権の核兵器の近代化政策批判にまで踏み込みます。さらには、唯一の戦争被爆国である日本の役割、ペリー氏がクリントン政権下で検討したものの実現しなかった「核の先制不使用」宣言などについても触れています。

 ――唯一の被爆国である日本…

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