入管法改正案見送り、長崎の支援者「本当の改正を」

榎本瑞希
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 外国人の収容や送還のルールを見直す出入国管理法改正案が18日、今国会では成立しないことになった。大村入国管理センター長崎県大村市)の被収容者を支援してきた人たちは歓迎する一方、運用の不透明さや処遇改善の必要性などを指摘し、「本当の改正につなげてほしい」と求めた。

 大村市ではこの日、被収容者の健康状態や仮放免の見通しなどを話し合う集会があり、約10人の支援者が参加した。2013年から面会を続けてきた川田邦弘さん(69)は入管法改正案の成立見送りについて、「うれしいが、現行の入管行政には改善が必要。今後の議論をしっかり吟味しなければ」と話した。

 大村入国管理センターでは19年6月、ナイジェリア人男性がハンガーストライキの末に餓死。「すごくつらく、悔しかった」という川田さんらは、これを機に支援者同士の情報共有を強化した。川田さんは「司法審査もなく、無期限に収容していることがそもそもの問題だ。改めない限りは、今後もずっと犠牲者が出ると思う」と話した。

 集会では、大阪の入国管理施設と合わせて2年近い収容の末に仮放免されたチュニジア人男性が、支援者へのお礼に訪れた。男性は朝日新聞の取材に「長い拘束は監獄にいるようだった。やっと人間に戻れた」と話した。だが仮放免中は就労が認められないため、不安定な状況が続く。男性は「母国では拷問を受けたことがあり、帰国できない。難民と認められるよう希望を持ち続けるしかない」と話した。

 出入国管理法改正案は、難民認定の申請中は送還しないとの規定を見直し、3回目以降の申請で相当な理由がない場合は送還できるようにする内容が盛り込まれていた。大村入国管理センターに収容されている外国人と面会を続ける長崎インターナショナル教会の牧師、柚之原(ゆのはら)寛史さん(53)=大村市=は「送還ありきの議論でつくられた改正案には問題がある。そもそも難民認定率が低い日本で、あってはならないことだ」と指摘する。

 柚之原さんらが面会してきた被収容者には、数十万円の賃金を受け取れないまま在留期限が切れてしまい、支払いを受けるために在留を求めている人も複数いるという。「彼らは劣悪な労働環境の被害者と言える。救済されずにいることはおかしい」

 大村入国管理センターナイジェリア人の40代男性がハンガーストライキの末に餓死した問題。出入国在留管理庁の報告書は、常勤医がおらず、本人が治療を強く拒否していたことを挙げ、「対応が不相当だったと評価するのは困難」とした。

 センターには20年8月から常勤医がついたが、今年1月には被収容者のネパール人男性がけがの治療を十分に受けられず歩行困難になったとして、国家賠償を求める訴訟を長崎地裁に起こした。男性は面会したボランティアに「痛くて眠れない」と訴えているという。

 柚之原さんは「餓死事件以降、中にいる人たちの心身状態は悪化の一途をたどっている」と話す。(榎本瑞希)