なぜ?神社から消えていく浮き玉 有力な「容疑者」とは

森直由
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 盗んだのは誰カァ?――。四條畷神社(大阪府四條畷市南野2丁目)で4月、境内の手水舎(てみずしゃ)から、30個以上のカラフルな浮き玉がなくなる被害があった。しかも小さな玉ばかり。有力な「容疑者」として、あの鳥が浮上している。

 「コロナ禍でも、神社を訪れた方々に明るい気持ちになってほしい」。権禰宜(ごんねぎ)の大町直人さん(42)はそんな願いから、初めての試みとして、4月上旬から手水舎で色とりどりの浮き玉を水に浮かべ始めた。直径4センチと5センチの2種類で、いずれも丸い陶器製だ。

 「あれ、おかしいな」。4月下旬から、朝に手水舎の周辺で割れている浮き玉を見かけるように。「何でだろう。誰かが腹いせに割ったのだろうか」と思った。その後も日ごとに、直径4センチの浮き玉ばかりが減っていくのに気づいた。夜間に人は入れないが、なくなるのは決まって夜間か早朝だ。「これは人間のやることではない。カラスの仕業ではないか」と考えるようになった。

 山のふもとにある神社の周辺にはカラスが多く、手水舎の近くの木に巣もあった。5月上旬から、夜間に板で上からふたをすると、被害はなくなった。大町さんは「実際にカラスが浮き玉をくわえているのを見たことはないが、鳥の卵と間違えて持ち去ったのではないか」と推測する。

 カラスの生態に詳しい樋口広芳(ひろよし)・東京大学名誉教授(鳥類学)は、「おそらく環境からハシブトガラスだと思う。神社の浮き玉のケースは初めて聞き、興味深い」と話す。「カラスは輝くきれいな物を持ち去る習性があり、浮き玉は好奇心を大きくかきたてるように見える。4月は巣づくりを含む繁殖時期で、巣には多くの玉が飾りのように置かれているかもしれない」と指摘する。

 さらに、「直径4センチの玉ばかりが狙われたのも、くちばしのサイズから納得できる。ゴルフ場で直径約4・3センチのゴルフボールをよく持ち去るが、5センチの玉はちょっと大きかったのではないか」と分析している。(森直由)

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