「こちらにも生活が…」酒の提供続けるバー店主の言い分

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 東京都内の新型コロナウイルスの感染状況が予断を許さない中、この1年以上、断続的に時短営業の要請対象となっているのが、飲食店だ。4月25日から続く3回目の緊急事態宣言では、都は酒類を提供する飲食店に休業を要請。多くが店を閉める中、これまで要請に応じてきたが今回は「NO」を突きつける店もある。街を歩いてみると「もう限界」という店主たちの悲鳴が聞こえてきた。

 新宿・歌舞伎町。緊急事態宣言直後は飲食店の休業で暗くなっていた街も、宣言の延長後は、訪れる度に少しずつ店の明かりが増えているように感じる。

 都は今回、酒類の提供がない場合でも午後8時までの時短営業の要請を出している。

 「酒が出せなければ、時短要請でも実質的な休業要請と同じ。これまでの要請と次元が違う」。和食バーの店主の男性(38)は、今回の緊急事態宣言が出された後も、酒類の提供を続けることを選んだ。

 これまで都の時短要請に従って午後8時までとしてきた営業時間も、コロナ禍前の「午前5時」に戻した。要請に従った場合支給される都からの「協力金」は、もうもらわないと決めた。「酒の提供を止めるか休業するとなれば、協力金だけでは赤字になる。通常営業に踏み切るしかない」

 都に初めて緊急事態宣言が出された昨年4月。店主の気持ちは、今と全く違っていた。感染拡大を防ぐため、休業要請にすぐ応じた。「協力できることは全てやらなくては、と必死だった」

 それ以降、都の要請にはすべて応じてきた。20席ほどあった座席は10席ほどに間引き、カウンターには透明な仕切り板を設置した。

 都からの協力金も大きな支えだった。1年前、1カ月半休業したとき店は100万円ほどの赤字になったが、その後は、都からの協力金とわずかな売り上げを合わせ、収支は「なんとかトントン」に。感染状況が早く収束すれば経営も元通りになるからと、受け入れた。

 だが、1年たった今も都内の感染者数は高い水準が続き、コロナ前の日常は戻らなかった。「国や都が言いたいことは分かるけど、こちらにも生活がある」

 世間からの批判も覚悟の上で、店を開けることを決めた。

 都は休業や酒類の提供を自粛する店への協力金として、1日あたりの売り上げが10万円以下の店には1日あたり4万円、25万円以上の店には10万円を支払う。

 ただ、実際に協力金が店に支払われるのはまだ先で、都によると、現在は3月末までの時短営業の協力金の審査をしている最中で、4月以降に出された要請に関する協力金については、申請の方法や受付時期などもまだ決まっていない。

 ゴールデン街で13年続くスナックも、昨年4月の緊急事態宣言では店を閉めたが、今は店を午前5時まで開けている。店のママ(50)は「目先のお金が欲しいわけじゃない。真っ暗でシャッターの閉まった通りを見ていると、お店も街もどんどんダメになっていくように思えてしまって」と話す。

 協力金をもらえば、人件費と家賃程度ならまかなえる。だが恐れるのは、休業や時短の長期化によって客離れが起こることだ。

 「コロナが収束してから店を開いても、お客さんが戻らなかったら私たちは生活の糧を失う。『協力金漬け』になって行政の支援を受け続けるのは、すごく不自然な気がする」

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