カド番の正代、転落危機迫る3連敗 迷って悩んで急失速

松本龍三郎
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 (18日、大相撲夏場所10日目)

 持ち味の馬力がある相撲にはほど遠い。カド番の正代は4人に増えた大関のなかで、最も星が伸びていない。大関戦を残して早くも5敗目。地位転落の危機がひたひたと迫る。

 序盤の5日間を4勝1敗で滑り出したが、そこから1勝4敗と急失速している。この日は、直近の対戦で8連勝していた「お得意様」の関脇高安が相手。立ち合いで浅く左上手を与えてしまうと、左の巻き替えに出ようとしたところを一気に寄り切られた。「攻めきれなかったというか、勢いが死んでしまった」

 殊勲の星を許した9日目の豊昇龍戦は、大関連破を狙う相手に「ちょっといろいろ考えこんでしまったというか。ちょっと当たり切れなかった」。その迷いが力強さのない立ち合いに表れていた。

 気になるのは、技術や体力よりも精神面だ。毎場所優勝争いを求められる立場なのに、場所前の発言は「カド番脱出」に向けたものが目立った。「(大関は)8番勝てばいいと思えば、8番も勝てなくなる。僕も経験しているから――」。初日を前に語った尾車事業部長(元大関琴風)の言葉が、いまの正代を言い当てていないか。

 この日で3連敗となった正代は「ちょっと苦しくなってきましたけど、集中はしていきたい」と前を向いた。優しく謙虚な性格は魅力だが、地位を失う危機感は、相撲からも、言葉からも、伝わってこない。(松本龍三郎)