「大阪化」どう防ぐ 変異株検査「さらに」

新型コロナウイルス

永沼仁
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 山梨大医学部(中央市)で14日、新型コロナウイルスの医療体制について話し合う緊急シンポジウムが開かれた。大阪府に派遣された看護師が、深刻な人手不足に陥っている現状を報告。変異株の流行をつかむため、同大学を活用した検査拡充の提案もあった。

 大阪の状況を報告したのは、集中治療室(ICU)看護師の田中大登さんと山本雅弘さん。

 田中さんは今月1~7日、関西医大総合医療センターに派遣された。重症者の受け入れ要請が相次ぎ、病床確保のため体外式膜型人工肺(ECMO〈エクモ〉)は使っていなかったと説明した。1人で3~4人の患者をケアし、「業務に追われ、患者さんを個別にみる余裕がなかった」と振り返った。

 大阪コロナ重症センターに先月派遣された山本さんも、休憩が十分にとれなかったと報告。患者が適切な治療・看護を受けられなくなっており、10日間で6人が亡くなった。「マンパワーが足りず、家族への連絡が滞ることもあった」と語った。

 報告を受け付属病院の医師たちも危機感をあらわにした。

 重症患者をみている森口武史・救急部長は「大学病院、救命センターでありながらエクモをあきらめざるを得ないのは衝撃的。医療崩壊している」。

 県感染症対策センター(県CDC)のメンバーでもある井上修・感染制御部副部長は、人口などをもとに大阪の現状を山梨にあてはめると、1週間の感染者が約600人となるとのシミュレーションを示した。うち2割が肺炎となり、人工呼吸器やエクモを使う患者が約30人出るという。

 感染拡大を食い止めるためには、ワクチン接種の推進、医療・検査体制の拡充が重要だと述べ、現在の変異株への対応は「不十分」だと指摘。「どれくらい流行しているのかをイメージしながら先手を打つ必要がある。独自に遺伝子を解析して、効果的な対策を立てることが大事だ」と語った。現在、国の機関に検体を送って分析しているが、学内に設ける「感染ゲノム解析センター」の活用を提案した。

 山梨大では現在、4人目の看護師を大阪府に派遣しており、来週からは2人ずつを派遣する。島田真路学長はシンポの終了後、「山梨も気を緩めると、感染が広がる可能性があり油断できない。変異株の分析は大学でもできるので依頼してほしい。インド株など分析の範囲をもっと広げ、実態をつかんでいくべきだ」と語った。(永沼仁)

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