「排出ゼロ」可能?国際機関が描く2050年の世界

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香取啓介
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 2050年には再生可能エネルギーが電気の9割を作り、化石燃料を使うのはプラスチックなど一部の製品製造にとどまる――。国際エネルギー機関(IEA)は18日、世界各国が2050年に温室効果ガス排出の実質ゼロを実現するシナリオをまとめた報告書を公表した。石油危機をきっかけに設立されたIEAが、脱化石燃料を鮮明にした。

 会見したファティ・ビロル事務局長は「今は8割のエネルギーが化石燃料由来だが、2050年にはクリーンエネルギーに占められる全く違う世界になる」「2050年実質排出ゼロは狭い道筋だが、政府が直ちに思い切った行動を取れば、実現可能だ」と述べた。

 報告書によると、実質排出ゼロのためには、今後10年で太陽光と風力の年間新設量を2020年の4倍に拡大するほか、年間4%の省エネを進める必要があるとした。現在年間2兆ドル(220兆円)のエネルギー関連投資を5兆ドルに増額することが求められるが、年間のGDP成長率を0・4%押し上げ、数千万の雇用も作るという。

「2035年、エンジン車発売禁止を」

 報告書では各国政府が目指すべき400以上の中間目標を例示。今年中の「新たな石油ガス、石炭開発の承認禁止」をうたい、30年には「先進国で二酸化炭素の回収・利用・貯留設備(CCUS)なしの石炭火力の廃止」、35年には「内燃エンジン車の販売禁止」や「先進国での発電部門の実質排出ゼロ」などをあげた。

 ビロル氏は「実質ゼロへの競争」だと表現。「競争だがそれぞれの国が異なるスタート地点から競う。また、他国との競争ではなく、時間との競争だ。全ての国がゴールしなければ、誰も勝てない」と、国際協力の重要性を強調した。

 IEAは石油危機をきっかけ…

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