ヘディング量産、代表選手の死 検視の言葉が脳裏に今も

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ロンドン=遠田寛生
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 ヘディングの反復は選手の脳に悪影響を与える可能性がある。日本サッカー協会(JFA)は5月13日、リスクを考慮して育成年代のヘディングの練習に関するガイドライン(指針)を発表した。11歳以下の練習は禁止するなど、これよりも踏み込んだ指針を昨年出した英国では、プロ選手への影響も懸念されている。

 理由は英グラスゴー大の研究結果だ。ウィリー・スチュワート教授を中心にまとめた研究で、2019年に「元選手は認知症などの神経変性疾患で死亡する可能性が一般より約3・5倍高い」と結論づけた。

 英国でヘディングによる脳障害が注目されたのは、20年ほど前になる。きっかけは著名選手の死だ。

 ジェフ・アストル氏。ヘディングで得点を量産した身長約180センチのFWだ。ウェストブロミッジイングランド1部)で活躍。1970年ワールドカップ・メキシコ大会ではイングランド代表に選ばれた、ファンに愛された選手だ。

 アストル氏は2002年に59歳で亡くなった。検視では「職業病による死」と判断された。

サッカー史に残る「大事件」

 昨年12月、娘のドーンさんに電話取材した。15年に設立されたジェフ・アストル財団の運営に携わり、同じような境遇に立つ家族の支援や認知症のリスクの教育・研究に関わる活動などをしている。

 亡くなった当時、検視に立ち会った病理学者の説明が脳裏に焼きついている。

 「ボクシングの選手のような…

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