住宅耐震化100%は非現実的?徳島県、方向転換の理由

斉藤智子
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 徳島県内のすべての住宅の耐震化を目標に掲げていた、県耐震改修促進計画が改定されることになった。耐震化率100%は実現が困難なため見直し、地震時の建物被害による「死者ゼロ」を目標に設定した。今後は、耐震化が進まない高齢者世帯を中心に家具の固定による「減災」を目指すなど、各世帯の実情に応じた取り組みに切り替える。県議会6月定例会への報告を経て改定する。

 国の2018年の住宅・土地統計調査によると、県内の住宅耐震化率は81・9%だった。県は昨年9~12月、未耐震の理由を把握するため、12町村でアンケート(回答数2288戸)を実施。65歳以上の単身または夫婦の高齢者世帯では「(家に住み続ける)後継者がいない」との理由で、高齢者世帯以外では経済的な理由で、耐震改修をあきらめていることが多い実態が分かったという。

 また、改修をしない理由には地域的な特徴も見られた。南海トラフ巨大地震の被害が特に大きいと想定される美波、牟岐、海陽の3町の高齢者世帯(回答数69戸)では、他地域では回答がなかった「倒れてもいい・どうせ津波で流される」が8・7%を占めた。

 計画の改定案では、「耐震化」を基本に置きつつ、「高齢者」「古い住宅で耐震性が著しく低い」など事情のある世帯に限っては、窮余の策として家具類の転倒防止や間取りの工夫などの「減災化」で、最低限の安全を確保するとしている。

 新たな計画期間は21~24年度。市町村や建築関係団体、ケアマネジャーらと連携して戸別訪問し、各世帯の実情に合わせた耐震化・減災化や支援制度を周知する。

 具体的には、住宅全体の改修に限らず、より安価な耐震シェルターの設置や、トイレや風呂を見守り機能付きにするスマート化工事と併せた耐震改修、自宅を担保にした融資制度を活用した耐震化や建て替えなどを提案する。危険なブロック塀の解消も改定案に盛り込んでいる。

 県耐震改修促進計画は2007年3月に策定、東日本大震災後の耐震改修促進法改正を経て14年3月に改定されている。従来の計画では、20年度末までに住宅の耐震化率を100%にすることを目標としていた。(斉藤智子)