【2日目詳報】挑戦者の渾身の勝負手 粘りでかわす名人

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村上耕司 佐藤圭司 村瀬信也 高津祐典
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 渡辺明名人(37)=棋王・王将と合わせ三冠=に斎藤慎太郎八段(28)が挑戦している第79期将棋名人戦七番勝負第4局(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛、藤井荘協力)は20日午前9時、長野県高山村の旅館「藤井荘」で再開する。2日目にどんな戦いが展開されるのか、注目される。

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第4局に勝って初防衛にあと1勝と迫った渡辺明名人(右)と、敗れた斎藤慎太郎八段(左)=2021年5月20日午後9時21分、長野県高山村の藤井荘、迫和義撮影
第79期名人戦七番勝負第4局 大盤解説会(2日目)

22:00

名人「詰みが発見できてよかった」

 終局後、両対局者にインタビューが行われた。渡辺名人の一問一答は次の通り。

 ――1日目で▲6六歩(35手目)~▲5五歩(37手目)と仕掛けたあたりの手応えは?

 「分からなかったが、行くところかなと。行かないと作戦として面白くないので」

 ――封じ手の△5五歩のあたりは?

「あんな感じかなと。△8六歩(の突き捨て)が入るかどうかくらいで、受け方は△6四角(46手目)かなと思っていた」

 ――中央で駒交換が行われ、先手が攻める展開になったが。

 「駒の総交換になったときは、一応、1歩得が主張で少しいいかなと思った。何手か指したらあまり成算がなくなってきたので、ちょっとどこがおかしかったかなという感じ」

 ――斎藤八段も△4九角(58手目)と反撃した。その後▲6五銀(71手目)と桂を取った局面は?

 「▲3八飛(77手目)でちょっとあましているかと思ったが、△3七銀(78手目)とされて、その後の変化が分からなくて。夕休憩以降は先手にとってどの変化も思わしくなかったので、ちょっと成算はなかったですね」

 ――△6九飛(86手目)のところは?

「いちばん肝の変化なんですけど。▲3四角が利けば勝ちなんですけど、金を上がられて負けかなと思った。利かないので負けかなと思ってやっていました」

 ――夕休憩以降は苦しいかもしれない?

 「再開してちょっと考えて▲3四角を断念しているので、形勢としてはちょっと粘る感じに切り替えた。方針を変えました」

 ――▲5六銀上(87手目)の後、△6七金~△8七歩成と追われたが、▲3四角(103手目)と王手で打って△4三金と受けられたあたりは?

 「自玉が寄らなくなってはっきり勝ちになった瞬間はあったが、そのあとちょっと寄せ方がおかしくて、最後は分からなくなってしまった」

 ――勝ちになったと思ったのは?

 「▲2七角(111手)のあたりは勝ちだと思っていたが、最後に詰みが分からなく……。詰みが発見できてよかったなと思う」

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第4局に勝って初防衛にあと1勝と迫った渡辺明名人(奥)。手前は斎藤慎太郎八段=2021年5月20日午後9時17分、長野県高山村の藤井荘、迫和義撮影

 ――最後は1分将棋でぎりぎりだった?

 「スマートな勝ち方ではなかった。読み切ってやっていたわけではなかった。もうちょっと何かあったかなとは思うが」

 ――5局目以降に向けて抱負を。

 「来週またすぐにあるので、今まで通りしっかり準備して臨みたいと思います」(村上耕司)

21:45

挑戦者「一番、間違えてしまったかな」

 終局直後、敗れた斎藤挑戦者と主催紙記者との一問一答は以下のとおり。

 ――後手番で△5二玉と構える「中住まい」の作戦だった。作戦の方針や実際にやってみての手応えは?

 「作戦だったんですけど、△6四角って上がる前に仕掛けられてしまったので。少し失敗してしまったかな、といいますか。中住まいっていうのが、そもそも、どうだったのか。それより、なにか急ぐべき手があったかもしれない。ちょっと(渡辺名人の)仕掛けが見えてなくて、そこからは、ずっと自信が無かったんですけど」

 ――慎重に時間を使って、封じ手の局面も1時間弱使うことになったんですけど、(41手目)▲5七金と上がられて、封じ手の局面はどんな印象だった?

 「5五歩を取ると、争点になるというか。5五を狙われてしまうので、本当は他の手で辛抱しようかなと思ったんですけど。どれも、ちょっと苦労が大きかったかなと。本譜も自信が無いんですけど、ちょっと長く戦えそうな順を探していたっていう感じです」

 ――(58手目)△4九角、(59手目)▲2八飛以降、自分から攻める手も回ってきた感じだったと思うんですけど。(68手目)△8六馬、(69手目)▲8七歩に、△8七同馬とか△5九馬とかあったと思う。あの辺りの攻防は?

 「やはり、まだ苦しいとは思っていたんですけど。7二金っていう形が、どこまで損になるかっていうと、結構きわどいかもしれないと(思い)、ちょっと元気が出てきたんじゃないかと一応思っていて。△8五歩の継ぎ歩が利けば、もしかしたら、なにか勝負できるかもしれない、と思っていたところでした」

 ――(77手目)▲3八飛と、金取りになったところで、(78手目)△3七銀と打ったところで最後の休憩に入った。△3七銀は、普通は、あまり無い手かなという感じですけど、その辺りの手応えは?

 「継ぎ歩する時に長考した時に、一応見えたので。成否は分かんなかったですけど、一番きわどい変化かなと思って、やっていきました」

 ――その後(の応手は、79手目)▲3七同飛で、斎藤八段の方も先手玉に迫る展開になったと思うんですけど。成算というか、チャンスが来てるかな、といった手応えはあったんでしょうか?

 「(86手目)△6九飛の時に、▲3四角が利かなければ、結構、面白くなってたかな、というか。なんか攻防手みたいな手が増えてきた感じだったので、チャンスが来たような気もしていたんですけど。ただ、(95手目)▲5六銀打が見えてなかったので。そこで間違えたか、もともと、まだ悪かったのか。そこが、なんか、一番、間違えてしまったかな、というか。結局、先手玉を右に逃がしてしまったんで。そこが一番悪い手を続けてしまったかな、というところでした」

 ――代わりに、こうやっておいたら良かったな、という手は?

 「う~ん、パッとは思い浮かばなくて(笑顔)。対局中は、結構、どの手も怖い思いをするので、指せなかったっていう感じだったんですけど。でも、どれか覚悟を決めて、やるしか無かったかもしれません。(96手目)△6六銀っていうのが、受けにいったようで、飛車の利きを止めてるんで、中途半端だったかな、と思います」

 ――最後までギリギリだったと思う。(122手目)△1四桂と王手するところなど。その辺りは、どうだったでしょう?

 「そうですね。ちょっと厳しくなってるというか。まだ、こちらも、ちょっと詰み筋が最初、見えてなかったので、どうかなと思ったんですけど。やはり、ちょっと駒を取られすぎてるかな、と」

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第4局で敗れた斎藤慎太郎八段=2021年5月20日午後9時25分、長野県高山村の藤井荘、迫和義撮影

 ――この結果、1勝3敗というスコアになったんですけど、次局以降に向けて、ひとこと、お願いします。

 「そうですね。カド番になりましたが、気持ちを切らさず、前を向いて、やっていければなあと思っています」(佐藤圭司)

21:30

後手玉は即詰み

 最後は渡辺名人が後手玉を長手数の詰みに討ち取った。終了図以下、△7六玉と逃げるのは▲7七歩△8五玉▲8四金△7五玉▲7四金△8五玉▲8六歩△同玉▲8七歩△9五玉▲9六歩△8五玉▲8四銀成までで後手玉は詰む。△8六玉でも▲8七歩△8五玉▲8四金から同様に追って詰む。

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終了図・133手目▲7八金まで

21:15

133手で名人が勝利

 長野県高山村の旅館「藤井荘」で19日から指されていた第79期将棋名人戦七番勝負第4局は、20日午後9時15分、渡辺明名人(37)=棋王・王将と合わせ三冠=が133手で挑戦者の斎藤慎太郎八段(28)に勝ち、対戦成績を3勝1敗とし、自身初の名人防衛まで、あと1勝と迫った。

 残り時間は両者とも1分だった。第5局は28、29の両日、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」で指される。(佐藤圭司)

■名人、飛車を奪う[20:5…

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