指導計画入力→自動で板書計画 起業家の卵がアプリ開発

松永佳伸
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 岐阜大学大学院教育学研究科1年の杉江萌花さん(22)が、起業家の卵として、多忙な教師の授業づくりを支援するウェブアプリを開発している。授業の進め方を入力すると黒板のレイアウトが自動的に作成できるなど、現場目線で負担軽減を図る。教師の卵でもある杉江さんは「教師がもっと輝くため、本当にやりたかったことに時間が使えるようにしたい」と意気込んでいる。

 杉江さんは大学3年のとき、小、中、特別支援学校で計2カ月半の教育実習を受けた。現場の教師が、帰宅後も夜遅くまで次の日の授業の準備をしていることを知った。教師にあこがれを抱きながらも長時間勤務の実態を目の当たりにし、「達成感や充実感もあるけど体力が持つのか。将来、家庭を築いた後も頑張れるのか」と不安になった。

 杉江さんは翌年、教員免許を取得し、小学校の採用試験にも合格したが、「教育現場を変えるため、学生の立場からアプローチができることはないか」と考え、大学院へ進むことを決めた。

 教育実習の経験を踏まえ、杉江さんが着目したのが毎日の授業準備に費やす時間だ。一般的には、授業の進め方を考える「指導案」をつくり、「板書計画」で黒板のレイアウトを作成し、プリントなどの教材を準備するという。

 そのためにかかるのは約2時間。教育現場へのタブレット端末の普及など、ICT(情報通信技術)化が進むなか、毎日の授業準備の作業は改善されていないという。

 杉江さんは、授業準備の無駄を省き、教師が満足できる授業づくりの支援をするためのアプリの開発を思い付いた。

 昨年9月、新規事業の創造や起業をめざす人材を送り出し、新規事業への投資を促進する名古屋市のプログラム「NAGOYA BOOST 10000」に参加し、提案が採用された。社会人として活躍する大手企業の技術者ら4人とチームをつくり、開発に取り組んでいる。

 アプリ「JUST 10min」では、授業の進め方を画面に入力すると、黒板のレイアウトが自動的に作成できる。さらに、情報を共有することでほかの教師がつくった指導案や板書計画を閲覧したり、それを引用して編集したりする機能も備える。現在、15人の若手教師に試作品を提供し、商品化に向けて改良を進めている。

 杉江さんは岐阜大学の「起業部」に所属しており、県が26日にオンラインで開く、起業家をめざす人たちの交流会「ぎふスタートアップカフェ」に参加し、学生起業家の卵として経験談などを紹介する。

 「生み出された時間を子どものために使ったり、さまざまな経験を積んだりできる。視野の広い子どもを育てることが教師としての私の理想。学生起業家として将来に役立つ仕事がしたい」(松永佳伸)