「顧客の心つかむためなら…」被害者が見た89歳元社員

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前田健汰、高橋豪、寺島笑花、垣花昌弘、伊藤宏樹
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 顧客から巨額の現金をだましとったとして刑事告発されていた第一生命保険の元営業社員の女(89)が、山口県警に19日、1・8億円の詐欺容疑で書類送検された。周南市を拠点に50年以上勤務し、「特別調査役」として地元政財界に広い人脈を持った元社員。被害者は顧客25人、計22億円に及ぶという。

 第一生命は昨年6月、元社員の顧客の1人から申し出を受けて社内調査を開始。顧客24人から約19億5100万円をだましとったことを確認した。県警の捜査で被害者は1人増え25人、総額は約22億円に上ることがわかった。

 被害者のうち、周南市に住む女性2人は昨年7月と9月、損害賠償や寄託金の返還を求める民事訴訟を地裁周南支部に起こした。一人は元社員から架空の運用を持ちかけられ、1千万円をだましとられた。もう一人は母親の死亡保険金5千万円を預けたが、期限を過ぎても返還されなかった。

 元社員側は、認知症の診断を受けて訴訟能力がなく、成年後見人の選任を申し立てているとして、期日の延期を繰り返し求めた。今年2月には兵庫県内の弁護士法人が成年後見人に選ばれ、元社員の法定代理人になっている。

 元社員について周南市のある市議は「地元では知らない人がいない超有名人。眼光鋭い気丈夫という感じ」と話す。元社員が住んでいた賃貸マンションは、市役所そばの住宅街にある。築40年近く。大家の男性によると、昨年7月に退去の申し出があった。

 「会社の営業で1位になったのよ」。男性は元社員が自慢げにこう話していたことを覚えている。長く一人暮らしをしていたが、兵庫県に住む娘から「もう一人では暮らせない」と説明されたという。

 元社員を数十年前から知り、数千万円を預けたという被害者の一人は「10%で運用すると言われた。顧客の心をつかむためなら年収を上回る額をつぎ込んででも贈り物をする人。自分で着服するためというより、営業成績を追い求めるあまりの犯行だったのではないか」と話す。

 昨秋に問題が表面化した後…

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