古畑任三郎誕生前夜 演じる前に理解した田村正和さん

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構成・大野択生
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 黒ずくめのいでたちで振り向き、ニヒルな笑みで視聴者に話しかける刑事。77歳で亡くなった田村正和さんが主演した「古畑任三郎」シリーズ(フジテレビ系)は、SMAPや当時現役野球選手だったイチローさんも犯人役で登場するなど毎回のゲストも注目され、平成を代表するミステリードラマとなった。脚本の三谷幸喜さんとともにドラマの企画を手がけ、現在はフジテレビ取締役を務める石原隆さん(60)に話を聞いた。

写真・図版
2004年の「古畑任三郎 すべて閣下の仕業」で演じる田村正和さん。21日夜8時からはフジ系で追悼特別番組「古畑任三郎ファイナル~ラスト・ダンス~」が放送される(C)フジテレビ

最も重要な要素

 古畑任三郎が眉間(みけん)に指を当てるしぐさは、田村さんが考えた演技プランです。独特の口調や黒ずくめの格好も含めて、古畑のキャラクターには田村さんのアイデアが至る所にちりばめられています。

 僕の記憶では、企画が出たのは三谷さんからです。織田裕二さん主演の「振り返れば奴がいる」が終わり、次の作品を相談する中で、米国の人気ドラマ「刑事コロンボ」のように、犯人を最初に見せてしまう「倒叙法」によるミステリードラマをやりたいと提案がありました。

 「主役は田村さんだ」と言ったのも三谷さん。「田村さんがやらないなら企画ごと変える」とまで言っていました。三谷さんは先日、「そんなこと言ってない!」と話していたんですけど、僕は間違いなくそう聞いた記憶がある(笑)。

 俳優としての田村さんに僕が抱いていた当初の印象は「シリアスなラブストーリーを演じる人」。やがて、二枚目でニヒルな俳優像とは違ったコミカルな一面も感じさせるようになりました。

 その姿は、「ユーモアを理解する男」という、古畑のキャラクター要素の中で僕が最も重要と考えていたイメージと合致しました。

 田村さんとそれまで一緒に仕事をしたことは、僕も三谷さんもありませんでした。当時の僕の上司だった山田良明さん(元フジテレビ常務)を通じてマネジャーに接触してみたら「田村さんは刑事物はやらない主義の人だから難しい」と。田村さんご本人も後にそう明かしていました。

 ただ、僕たちが考えていた企画は当時よくあった人情モノやアクションを伴う刑事ドラマではなく、田村さんの想像とは違う可能性がかなり高いのではないかと思っていました。三谷さんと相談し、ちゃんと企画意図を説明することにしました。

「いや、いらないでしょ!」

 企画書を書いても伝わりにくいと思い、三谷さんにいきなり台本を書いてもらいました。断られたら台本は無駄になるかもしれないけれども、田村さんに世界観を伝えるのにはいちばんいい方法だと思いました。

 それを田村さんに届けたら…

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