高僧・行基の供養堂? 類例ない円形建物跡を発見 奈良

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渡辺元史
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 奈良市疋田町4丁目の菅原(すがはら)遺跡で円形の建物跡が見つかり、元興寺(がんごうじ)文化財研究所(元文研)が20日発表した。元文研によると、奈良時代の円形建物跡の発見は初めてという。東大寺の大仏造営に携わった僧・行基(ぎょうき)(668~749)を弔う施設だった可能性がある。

 発掘された建物跡は、奈良時代の日本では例をみない円形構造で、円状に並んだ柱穴が15カ所(推定16カ所)で発見された。柱穴の内側からは、基壇(土台)とみられる凝灰岩の抜き取り跡も見つかり、これも円状だった。柱穴が描く円の直径は約15メートルで、円堂や多宝塔といった建物だった可能性があるという。

 奈良時代には「八角円堂」という建物もあるが、上から見ると八角形で、今回のように純粋な円形は見つかっていないという。

 円形建物跡の西側と北側では、回廊の柱穴が35カ所で見つかった。回廊の穴はそれぞれ0・8~1メートル四方だった。通路が1本の「単廊」とみられる。北側には回廊につく格好で、東西約15メートル、南北約6メートルの仏堂とみられる建物跡も見つかった。東側と南側は斜面の崩壊で失われて確認できなかったが、回廊につく建物跡の東隣と円形建物跡の東側からは掘立柱(ほったてばしら)塀跡が見つかり、造営当時は西側を約39メートルの回廊が、東側を同規模の塀が、円形建物を取り囲んでいたとみられる。

 1981年の調査では、今回の発掘現場の南側から奈良時代中期の別の建物跡が見つかっており、円形建物に関連する施設とみられる。平安時代の文書「行基年譜」の記述から、行基が近畿地方に建立した寺院「四十九院」の一つ、長岡院(ながおかいん)の候補地として研究者に知られていた。

 元文研によると、奈良時代の役所や宮殿、寺院などの多くの遺跡から回廊が見つかっている。回廊は格式の高い施設に設置され、特殊な空間にするための結界の役割を果たしたと考えられる。今回の調査で円形建物跡を囲う回廊跡が見つかったことで、菅原遺跡が長岡院である可能性がより高まったという。円形建物跡は長岡院の中心的な施設だったと考えられるとしている。

 また、南と東の回廊や塀の内…

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