「避難指示」一本化の初日に大雨 福岡・熊本で発表

藤原慎一、棚橋咲月、奥正光
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 北上した梅雨前線の影響で、九州・山口は20日、大雨に見舞われた。法改正にともない災害時の二つの避難情報を「避難指示」に一本化したこの日、福岡県熊本県などの各地で避難指示が出された。21日明け方まで局地的に激しい雨が見込まれており、気象庁土砂災害などへの警戒を呼びかけている。

 福岡管区気象台などによると、北上する梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込み、各地で大雨になった。20日午後7時時点で、1時間降水量は福岡や長崎など5県12地点で5月の観測史上最大を更新。熊本県水俣市では、24時間降水量が227ミリに達した。21日午後6時までの24時間降水量は熊本で150ミリ、佐賀や大分で120ミリと激しい雨が予想されている。

 この大雨で土砂災害の恐れがあるとして、熊本県天草市福岡県うきは市など少なくとも3県の12市町村(20日午後9時時点)が避難指示を出した。避難指示は5段階ある警戒レベルのうち2番目に危険度が高いレベル4。従来、避難指示と避難勧告の二つがあったが、改正災害対策基本法の施行にともない、20日午前0時に「勧告」が廃止され、「指示」に一本化された。

 変更初日の「避難指示」に、手応えを感じる自治体がある一方、住民への周知には課題も見えた。

 市内全域の約2万4千人に避難指示を出した熊本県水俣市。市危機管理防災課の担当者は、勧告か指示か悩む必要がなくなり、より早い対応が可能になったと強調する。ただ、市が開設した7カ所の避難所に避難した住民は計7人(午後2時時点)。「防災無線などを通じて住民への周知を続けていかなければ」としている。

 天草市も避難所を開設し、一時1万人に避難指示を出したが、雨が強まった昼も避難したのは2人にとどまった。避難指示への一本化は、来月1日付の市の広報で説明する予定だったが、記録的な早さの梅雨入りで追いつかなかった。防災担当者は「これから周知するところだった。住民にどこまで浸透しているのか不安はある」。

 20日午後に避難指示を出した福岡県うきは市は、防災無線やLINEを通じ、19日に運用の変更を住民に伝えていた。担当者は「より多くの避難につなげるため、空振りを恐れずに出していきたい」と話した。

 昨年7月の豪雨で甚大な被害を受けた熊本県芦北町は20日午前9時50分、町全域の約1万6千人に避難指示を発令。これまでの運用であれば避難勧告にとどめていた可能性もあったが、一本化されたことで避難指示を出したという。(藤原慎一、棚橋咲月、奥正光)