「宇宙にデータセンターを」NTTとスカパーが構想発表

山本知弘
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 人工衛星を使ったデータセンターを宇宙空間につくる構想を、NTTと衛星事業を手がけるスカパーJSATホールディングスが20日発表した。NTTの光技術を複数の衛星に載せ、少ない電力で大容量のデータを処理できるようにする。地上で災害があっても影響を受けにくく、「脱炭素」にもつながるという。

 衛星にデータセンターの機能があれば、地上回線のない地域や山間部などとのデータのやりとりがしやすくなる。地上にある通常のデータセンターは電力を大量消費するため、衛星の動力源である太陽光発電を活用できれば「脱炭素」につながる効果も期待できる。

 ただし、衛星の現状の発電能力では大容量のデータ処理が難しい。そこで期待されるのが、NTTが「IOWN構想」として掲げる次世代の通信技術だ。光通信の技術を個別の端末や装置に載せ、低電力での高速処理をめざすもので、実現すれば衛星でも大容量の処理が可能になる。観測データを素早く解析し、防災や農業など様々な用途にいかせる可能性があるという。

 ただ、衛星の打ち上げや製造でもエネルギーを消費する。20日の記者会見で、実際にどれだけ省エネになるのかを問われたNTTの澤田純社長は「数千個とか数万個を打ち上げるのではなく、効率的に運用することを考えている」と話した。

 両社は今後、事業の土台となる技術開発を進め、2025年ごろから順次、商用衛星を打ち上げる。構想実現にどれだけの数の衛星が必要かは今後詰めるが、澤田氏は「投資規模は数百億円になる」と説明した。

 打ち上げた衛星群を、次世代の携帯通信の基地局に使うアイデアもある。スカパーの米倉英一社長は「災害時のバックアップにもなる」と計画の意義を説明。「『日の丸連合』が重要だ」とも強調し、両社の取り組みは日本の安全保障にも役立つと訴えた。(山本知弘)