大満足!名物カレーで思い出す週末、魅惑の「しらせ」飯

中山由美
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 豪州を出発し、南極・昭和基地まで約1カ月、観測船しらせの生活で楽しみの一つが食事だ。味もボリュームも大満足、ただ体重増が心配になる。

 人気はカレー、運航を担う海上自衛隊では週末の恒例だ。船の生活では曜日感覚がなくなるので、「1週間たったか」とカレーで思い出す。しらせでは金曜昼の定番。限られた食材で乗員179人と観測隊67人の計246人の胃袋を満足させるため、調理人は様々な工夫をしている。

 朝6時、調理場をのぞくと昼の仕込みが始まっていた。炒めたタマネギ、煮崩れしないよう揚げておいたジャガイモを直径約1メートルの大釜に投入、「シュー」と大きな音を響かせ、高熱の蒸気が送り込まれる。火災予防で火とガスは使わない。蒸気釜は汁物や炒め物、炊飯を早く大量にむらなく作れる。揚げ物や焼き物は電気調理器を使う。揺れが大きい時は、まな板やボールの下に滑り止めを敷いて固定する。

 カレーは麺つゆや焼き肉のたれ、コーヒーやソースなどを足して味を変える。この日は缶詰の白桃やパイナップル、赤ワイン隠し味に。辛い味が好きな人のためのソースも作った。

 米は普段の5割増しの35キロ、2回に分けて炊く。揺れると釜が傾くので水の量が計りづらい。熱やむらし加減をつかむまで大変で、「最初は、軟らかかったり硬かったり苦労しました」と高校で調理を学んで海自に入った大槻正夫さん。南極への夢が実現し「星空を見るのが楽しみ」と話す。

 でも乗員の大半は入隊して初めて調理を学ぶ。給養員長の平松幸真(ゆきまさ)さんも「最初は慣れずに辛かったです」。南極行き6回目、献立を決め、統括する「調理長」となった。

 航海151日分で積み込んだ食材は予備も含めて120トン。冷蔵庫で大根は立てて、キャベツは芯の上部に石灰をつけてラップでくるんで長持ちさせる。肉や魚はマイナス約20度の冷凍庫で、米などは15度に保って貯蔵する。全国から集まる乗員らはなじみの味もばらばらだ。赤道越えや南極で野外に出る時……、寒暖や活動量の変化で食欲も好みも変わる。細やかな気づかいが料理に込められる。

 クリスマスは七面鳥、年末は餅つき、正月はおせち、誕生日にはケーキのプレゼント、成人式に祝い膳も。ソフトクリームを出す日は行列ができる。毎日3食、休みなしの現場でも「みんなの笑顔と残さず食べてくれることがうれしい」と平松さんは話していた。中山由美