食らいつく貴景勝 のぞみつなぐ白星、照ノ富士を追走 

波戸健一
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 (20日、大相撲夏場所12日目)

 出場力士で番付最上位、東大関の朝乃山が不祥事で休場した。カド番の正代は優勝争いから早々に姿を消している。独走状態に入ろうとしている照ノ富士の背中に、残る大関の貴景勝が食らいついた。

 絶体絶命に見えた。逸ノ城のはたきに、ガクッとひざから崩れた。しゃがんでこらえ、立て直す。巨漢の相手を押し続け、小細工なしの相撲で土俵の外に追いやった。危ない場面をくぐり抜けた一番に「我慢できた」と振り返った。

 この場所前、「基礎が一番しんどい」と言った。

 部屋の稽古では30分間の四股で汗を流し、ダンベルを持ったすり足で足腰に負荷をかける。あんこ型の力士で、片足スクワットを器用にできるのは貴景勝ぐらいではないだろうか。若い衆を背負ってのスクワットも計60回。鏡の前で体の変化もつぶさに観察した。

 コロナ禍の中で巡業がなく、その分、部屋での基礎の徹底に力を注いできた。175センチの体で押し相撲。何度もけがに泣かされた。綱とりに挑戦した初場所も、左足首の負傷で途中休場。チャンスを棒に振った。相撲を取るための体作りに、「中途半端はダメ」という覚悟で取り組んだ。

 先場所は楽日まで照ノ富士と賜杯(しはい)を争った。4大関となった今場所も、照ノ富士との一騎打ちの展開になってきた。おそらく直接対決は、再び楽日に組まれるだろう。「一生懸命やっていく」と貴景勝。ここまで体調は良さそうだ。負けられない残り3日になる。(波戸健一)