だんじり練習中に寺の火災発見 若者3人が連係して救助

岩本修弥
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 兵庫県神戸市東灘区山北町のだんじり保管倉庫前。

 会社員の花市(はないち)拓海さん(22)は地元青年会のメンバーとともに、だんじりの練習をしていた。4月18日のことだ。

 午後4時半。後輩にトントンと肩をたたかれた。「花市さん、あれ、見てください」

 指のさす方向を見た。50メートルほど先で煙がもくもくと上がっている。全速力で煙の方向へ駆け出した。

 駆けつけた先は、地域で親しまれる常永寺。寺の入り口前に、住職の母親(69)がいた。放心状態で、「上に、まだお父さんがおる」。

 花市さんは無言でうなずき、寺に入った。階段の踊り場付近で住職の父親(72)が倒れていた。全身にやけどを負い、動けない様子だ。後から駆けつけた仲間2人と協力し、抱きかかえて50メートル先の練習場まで運んだ。

 約2分後。「まだ、もう1人おる!」。誰かの声がした。

 急いでもう一度寺の中へ。だが火の気は勢いを増していた。

 黒い煙で目が開けられない。呼吸もできない。数歩進むと、嗅いだことの無いような強烈なにおいに襲われた。

 「早く出てこい」。仲間の声で外に出ると、取り残されていた住職の男性(42)が、外に倒れていた。自力で窓から飛び降りたようだ。再び仲間とともに、住職を安全な場所まで避難させた。

 救出後は青年会のメンバーで消火活動。延焼せずにすんだ。住職も両親も、命に別条はなかった。

 強い絆で結ばれた青年会ならではの連係プレー。「日頃から消防訓練をしていたおかげ。団結できた」と花市さんは振り返った。

 花市さんら青年会の3人には今月16日、市東灘消防署から人命救助の感謝状が贈られた。(岩本修弥)