バリ島閑散、切り札はテレワーク 半ズボンでくつろいで

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バリ島=野上英文、バンコク=乗京真知
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 世界的なリゾート地として知られるインドネシアのバリ島が、コロナ禍の大打撃から復活をねらっている。切り札は「ワーク・フロム・バリ島」。コロナ時代の働き方に着目し、「テレワークをするならバリ島から」と誘う。(バリ島=野上英文、バンコク=乗京真知

 バリ島南部の国際空港から車で15分。人気のクタビーチは、キリスト教の復活祭の休暇期にもかかわらず、観光客は数えるほど。波打つ音だけが響いていた。

 「ふだんの連休なら、数千人で埋まるが、最近は多くて100人。島の観光はコロナで壊滅した」。ライフガードのマーシェロ・アリヤファラさん(41)はつぶやいた。

ホテル、レストラン立ち行かず

 約200店舗が並ぶ近くの土産市場では、大半がシャッターを下ろしている。服屋を開いて35年の女性店主(55)は「3日前から販売がゼロで、今は1日に5万ルピア(約380円)でも稼げれば御の字」と嘆いた。

 地元政府によると、コロナ禍以前、バリ島には海外から毎年600万~700万人の観光客が訪れた。だが、感染対策で2020年3月に国際線が止まると、ホテルやレストランが立ちゆかず、解雇された従業員は7万5千人に上る。

 バリ島では02年に日本人を含む202人が犠牲となる爆破テロ事件があり、現場のクタなどで観光業が落ち込んだ。だが「コロナ禍の影響は比較にならない」と地元民は口をそろえる。政府統計でも経済的損失は過去最悪の落ち込みだ。

 地元集落に帰って農業や漁業で食いつなぐ住民も多い。ただ、半世紀にわたって進めてきた観光開発からの脱却は容易ではなく、「観光再開への期待は根強い」と島のプトゥ・アスタワ観光局長は打ち明ける。

 インドネシアにとってバリ島は、観光による外貨収入の4割を占める稼ぎ頭だけに深刻だ。このためジョコ大統領は、人気のサヌール、ヌサドゥア、ウブドの3地区に絞り、6~7月にも海外からの観光を優先的に再開させようともくろむ。

 課題は感染状況が、なお改善しないことだ。ジョコ政権は、3月から3地区の観光従事者ら17万人を対象に集団でのワクチン接種を始めた。ジョコ氏自らも島を視察して発破をかけた。

 集団接種を実施したウブドの集会所を訪ねると、明るい空気が漂っていた。ウェーターのラカ・サウィトリさん(28)はこの1年間、失業状態が続く。「接種を皆が待ちに待っていた」と笑顔で、感染の拡大よりも、島の封鎖が続くことの方が不安だと語った。

この後、タイなどの取り組みにも触れます。

「ワーク・フロム・バリ島」アピール

 「バリ島から仕事をしてみたら、朝からとてもはかどった」。サンディアガ・ウノ観光・創造経済相は今年1月、バリ島から声明を出した。

 平日からクタのホテルに滞在。ノートパソコンを広げて、オンラインでの省内会議など公務を遠隔でこなしてみせた。「豊かな自然を楽しみながら、観光業や地方創生にも貢献できる『ワーク・フロム・バリ島』を推進したい」

 さらに首都ジャカルタ在住の…

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