昭和レトロが売りの西武園 「古くさい」は「懐かしい」

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木村聡史
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 ソーレ ソレソレ お祭りだ

 美空ひばりの「お祭りマンボ」や、植木等が歌う「スーダラ節」。テンポの良い歌謡曲が路地に響き渡る。八百屋の店主は野菜のたたき売りに精を出し、出前用のお盆を何段も肩に積んだそば屋の自転車が風を切って走り抜ける――。

 一歩足を踏み入れると、そこは1960年代の日本。高度経済成長期の活気みなぎる昭和の商店街が出迎えてくれる。

 埼玉県所沢市西武園ゆうえんちが19日、リニューアルオープンした。いわゆる普通の遊園地から脱皮し、「昭和レトロ」をテーマに軸足をがらりと変えたのが最大の特徴だ。令和の時代に、昭和にスポットをあてる。意表をつく構想は4年前、ある2人の出会いから動き出した。

 2017年1月、所沢市の西武ホールディングス(HD)本社。社長の後藤高志(72)と向き合っていたのは森岡毅(48)。映画ハリー・ポッター」エリアなど、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)の人気アトラクションを次々と成功に導いた再建の立役者だ。低迷していた来場者を5年で8割増やすなど、業界ではすでにその名をとどろかせていた。

 森岡が知人の紹介を通じて後藤を訪ねたのは、17年にUSJを辞めた直後だった。

 エンターテインメントを通じて地域を、そして日本を元気にするという森岡の情熱あふれる話しぶりに、後藤は「使命感がびんびん伝わってきた」と感銘を受けた。ちょうど西武園のリニューアルに向け、どんな手を打つべきか思案していた。

 1950年に開業した西武園は、順調に客足を伸ばし、88年度には194万人の来場者を記録した。91年にSMAPがデビューイベントを開いたのもここだ。しかし、来場者は徐々に減り続け、18年度は49万人と、ピークの4分の1ほどに落ち込んだ。全国の遊園地の閉鎖が相次ぐ中、70年がたつ西武園も陳腐化、老朽化が歴然だった。

 森岡の手腕と熱意に共鳴した後藤は、決め手を欠いていた西武園の再建を、森岡がたちあげたマーケティング会社「刀(かたな)」に全面的に託す決断をする。

 後藤自身も再建には相応の自…

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