コロナ下の面会「今までありがとう」 看護師の決意で

有料会員記事新型コロナウイルス

神宮司実玲
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 昨年2月、埼玉県三芳町にあるふじみの救急クリニックの前には、発熱やかぜの症状を訴える人で列ができていた。

 看護部長の板垣光純(みつよし)さん(43)は、同僚と玄関先で対応した。

 熱がある人たちは、通常の診療エリアに入らないように、クリニック前の駐車場に設営したテントに誘導した。

 3月、季節外れの雪が降る日もあった。テントの雪下ろしをしたが、雪の重みで2回つぶれた。

 「地域のためにコロナ患者受け入れに全力を尽くしたい」

 中国・武漢を中心に新型コロナウイルスが流行する中、副院長でもある板垣さんは、鹿野晃院長(48)から相談を受けた。

 看護師が抱える感染リスクを考えると、戸惑いもあった。

 自分も、がんで闘病中の父や3人の子どもと暮らす。他のスタッフの不安もよくわかった。

 鹿野院長はミーティングで、スタッフを集めて話した。

 「救急医として、このときのために生まれてきたと思う。クリニックは潰れてもよいので、皆さん一緒についてきてください」

 クリニックは、24時間365日対応で地域医療を支える。

 板垣さんは、「院長の言葉で、多くの職員がコロナとの対峙(たいじ)の決心がついたと思う」と振り返る。

 4月、全10病床をコロナ患者用にして、患者の受け入れを始めた。

 予防救急の点から、陽性者を早期に見つけることが大事だと考え、PCR検査に力を入れた。

 クリニック横の空き地に、検査場を作った。増設工事で使っていたプレハブを移設して、待合室にした。

 3月下旬、「帰国者・接触者外来」の指定を受けた。クリニックの判断で検査や診察ができるようになった。

 24時間PCR検査に対応していることが報道されると、県外からも多くの人が訪れた。

 患者とスタッフの接触を減らすために、板垣さんも、検査と支払いを担当する日々が続いた。

 病院への電話は鳴りやまない。

 夜中にカルテを作り、日中はひたすらPCR検査をした。病院で寝泊まりする日もあった。

 膨大な量の単純作業は、一つでも間違えると影響は広範囲に及ぶ。

 マスクにフェースシールド越しの慣れない会話は、スタッフ同士、患者とのコミュニケーションを難しくした。

 コロナへの不安に暑さも重なり、外で待つ来院者の中には、怒りをスタッフにぶつける人たちもいた。

 なぜ、一生懸命やっているのに、文句を言われないといけないのか。スタッフを増やしたが、「もう無理」と、入職して1日、2日で辞める人が相次いだ。

 夏場、埼玉県のPCR検査の約9割を担っていた。

 このままでは職員の士気が持たないが、検査を中止することは医療崩壊につながる。

 これまでの陽性者の届け出用紙の束を前にして、スタッフに言った。

 「陽性者が1人でも見過ごさ…

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