「弘前市の宝」 前川國男の建築、国の重文指定へ

土肥修一、林義則
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 日本の近代建築を代表する建築家、前川國男(1905~86)が設計した「木村産業研究所」(青森県弘前市在府町)が、国の重要文化財に指定される。21日、国の文化審議会が文部科学相に答申した。「前川建築」が国の重要文化財に指定されるのは初めて。県内の国重文(建造物)は33件目、昭和建築では初めてという。

 前川は大学卒業後、フランスに渡り、近代建築の巨匠ル・コルビュジエの元で学んだ。東京文化会館国立国会図書館など数多くの作品を残し、弘前市内では木村産業研究所のほか、市庁舎本館や市民会館、市立病院などを手がけた。

 同研究所は、前川が帰国後に初めて手がけたデビュー作。フランスで知り合った設立者の木村隆三の依頼を受けて、地域の産業振興を目的に1932年建築された。

ピロティや吹き抜け備え、赤い天井も

 鉄筋コンクリートの2階建て。白い壁と水平に連続する窓で均整の取れた外観、バルコニーやピロティ、曲面に張り出した外壁。内部はガラス窓を多く使い、玄関ホールの吹き抜けや赤く塗られた天井も特徴とされる。過剰な装飾をせず、機能性を重視したモダニズム建築を体現する国内最初期の建物として、価値が高いと評価された。

 研究所の成田貞治代表理事は「認知度が高まり、みんなに大事にしてもらえる」と喜ぶ。来年で90年を迎える建物を「弘前市の宝。大事に使って、丈夫なうちは市民にも開放していきたい」と話した。

 弘前市の桜田宏市長は「前川建築の歴史的な価値が改めて高い評価を受け、大変喜ばしい。前川建築を市民の宝として、今後も生かし大切に継承していく」とのコメントを出した。(土肥修一、林義則)