福岡のワクチン接種状況は? 私の病院も接種医療機関に

酒井健司
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 福岡県でも緊急事態宣言が出された中、高齢者に対する新型コロナワクチン接種がはじまりました。私が勤務する病院も接種医療機関となっています。外来で患者さんからワクチンについて質問されることも多くなりました。地方によっても医療機関によってもそれぞれ事情は異なりますが、今回は私の周囲での新型コロナワクチンの現状についてお話します。

 福岡市では対象者には接種券はすでに配布されており、5月12日から75歳以上の、5月19日から65歳以上の予約受付が開始されました。予約の方法は、予約専用サイト(インターネット)、福岡市のコールセンターに電話、各医療機関に直接予約の3通りです。ただし、接種医療機関であっても直接の予約を受け付けていない医療機関もあります。

 みなさんもご承知の通り、接種開始直後はとくにワクチン希望が集中します。電話で予約を受け付けると回線がふさがって他の大事な要件の伝達ができなかったり、接種番号を聞き間違ったりするおそれがあります。かといって電話ではなく来院していただくと行列ができて密になるかもしれません。直接の予約を受け付けていない医療機関で接種したい場合は、インターネットかコールセンターを通じて予約をしていただくことになります。

 私の家族は予約開始日にコールセンターに電話をしたけれどもぜんぜんつながらなかったそうです。電話をあきらめてインターネットを試したら集団接種会場での予約が取れ、すでに1回目の接種を集団接種会場で済ませました。福岡市では「マリンメッセ福岡」という大規模イベント会場で集団接種が行われています。家族の話では、会場ではとくに混乱もなくスムーズにワクチンを受けられました。

 当院では、近隣のクリニックの先生方や従業員のみなさんにも接種します。インフルエンザワクチンなら各クリニックで接種すれば済みますが、新型コロナワクチンは5~6人をまとめて接種する必要性や、冷蔵・輸送の問題もあって難しいのです。理想的には医療従事者のワクチン接種が完了してから高齢者の接種を開始したいところですが、高齢者へのワクチン接種と並行して行います。もちろん、ワクチン接種以外の通常業務もいつも通りに行っています。

 課題はまだあります。当院の入院患者さんの多くは高齢で接種対象者に含まれますが、いまのところ接種の予定は立っていません。いま日本で使われているファイザー製のワクチンは1回目の接種の3週間後に2回目の接種が必要です。2回目の接種前に入院患者さんが退院したらどうするのかなどを決めておかなければなりません。

 しばらくは希望者がすぐにワクチン接種ができるという状況にはならないでしょう。ただ、ワクチンがなかなか接種できないのは輸送や接種の段取りの問題であって、ワクチンそのものは十分な数が確保されています。問題点が改善されスタッフが慣れてくれば1日あたりの接種回数もペースアップできます。また、東京と大阪に設置予定の大規模接種センターを福岡県にも設置することが検討されています。すみやかにワクチン接種ができるようになることを望むとともに、一医療従事者として私も頑張ります。

《酒井健司さんのコラムが500回を迎えました》本コラム「医心電信」は2011年5月に連載を開始し、今月で500回目を迎えました。記念のインタビューを公開中です。https://www.asahi.com/articles/ASP4Q6S74P4NTIPE009.html(酒井健司)

酒井健司
酒井健司(さかい・けんじ)内科医
1971年、福岡県生まれ。1996年九州大学医学部卒。九州大学第一内科入局。福岡市内の一般病院に内科医として勤務。趣味は読書と釣り。医療は奥が深いです。教科書や医学雑誌には、ちょっとした患者さんの疑問や不満などは書いていません。どうか教えてください。みなさんと一緒に考えるのが、このコラムの狙いです。